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zoom RSS ランチェスターの法則

<<   作成日時 : 2011/05/18 15:50   >>

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数学モデルを使った集団での最適な戦い方を求める理論である。個々の兵士がこの法則に従った行動をとるために必要なことは、兵士たるもの自由意志を持って臨機応変な行動をとるべからず、ということだ。その故に、ゼークトあるいはだれそれというドイツに名高い将校が、「前線の兵卒は勤勉であってはならない」としたのかもしれない。勤勉であることの有害性が少し見えてきたように思う。勤勉ということこそ、国家形態のいかんを問わず、ほとんどすべての人間がその悪弊に全く気がつかないどころか、正反対にその美徳性を推奨してやまないものであった。

ランチェスター(1868−1946)はイギリスの自動車光学、航空工学のエンジニアだ。21歳でガスエンジンの会社に就職する傍ら、自動車の設計を始めるが、車が完成に近づくと、27歳のとき会社を辞める。そうして31歳のとき「ランチェスター・エンジン会社」を設立して、独自の自動車を販売した。かなり斬新な設計だったらしいが、時代を先読みしすぎたため、車は売れなかったということになっている。それで40歳で、会社を大手自動車会社のデイムラーに売却。45歳で「ランチェスター技術研究所」を設立した。この年、1914年の10月に、「集中の法則」というテーマで、第1法則と第2法則を提示。対峙する敵と味方の軍が、公平に互いに射程距離で応戦した場合の効率は、戦力の集中に成功した場合がきわめて有利であることを理論的に証明した。その後一連のオペレーションズ・リサーチのレポートによって、ランチェスターはバーミンガム大学から名誉博士号を得た。

日本でOAといえば経営戦略について思い浮かべるのが普通だと思うが、どうも元来の意味は戦闘戦略である。英和辞書を引いてみると、[operations]と複数形になった場合は「軍事行動」とか「軍事作戦」をさすらしい。原則単数の場合のみ、経営計画や手術のようなものもさすということだ。出来るだけ、射撃に人間心理の介入することを防ぐ意味からか、当初は戦闘機同士での空中戦に限定しての研究だったそうだ。

それで、ランチェスターの一次法則というのは、単純な一騎打ちの法則で、XチームとYチームが戦闘を開始した場合、後者が前者のE倍強いものとする(Eを「交換比」と呼んでいる)と、Xチームの当初の人数をX0,YチームのそれをY0として、
  X0−x=E(Y0−y)  ・・・(A)
が成り立つということで、まあこれは常識的に当り前だ。これが、監督の采配やチームワークと言ったものが全くない、いわば「勤勉な兵士が自己判断で勝手に戦う場合」である。たとえばXチームが200人いて、E=2で2倍強いYチームが100人いるとすると、ちょうど両軍全滅したところで戦闘が終わる。

次に、「第二法則」だ。これは、各兵士が敵軍めがけて、目くらめっぽうに射撃をする場合。Yチームの兵士は個々の強さはXチームと変わらないが、E倍性能のよい兵器を持っていて、単位時間当たりX軍の兵士をE倍殺傷する能力があるとする。極短い持間の間にXチームの人数がdxだけ減少し、yチームは同じ時間にdyだけ減少する。dyはX軍の兵士が撃ってくる弾の数に比例し、この弾の数はまたX軍の生き残りの兵士数に比例するので、kを比例定数として、
  −dy=k・x   ・・・(a) となる。
dxも、同様にy軍からの弾数に比例して減少するが、y軍の鉄砲はx軍よりもE倍性能がよいので、発射回数がE倍である。よって、
  −dx=E・k・y ・・・(b)

(a)、(b)より、dy/dx=x/(E・y)あるいはxdx=E・ydy ・・・(1)

(1)を積分して、x^2=E・y^2+C ・・・(2)

戦闘開始のときは、x=X0,y=Y0であった。そうすると、C=x^2−E・y^2=X0^2−E・Y0^2となるから、上の(2)式は、E・(Y0^2−y^2)=X0^2−x^2となる。左右あべこべにして、

X0^2−x^2=E・(Y0^2−y^2) ・・・(B)
を「ランチェスターの2次法則」という。

上の式に、X軍の初期値を200人、2倍強力な武器を持ったY軍が100人いるとして当てはめてみると、200^2−x^2=2・(100^2−y^2)であるから、40000−20000=x^2−2・y^2となって、今度はA式とは異なり、旧式な性能の悪い武器を持ったX軍のほうが、かなり生き残りそうなことがわかる。yを0としてみると、x^2=20000であるから、x=√2万人、141人以上も生き残るのだ。つまり、互いの武器がともに有効であった場合、防御力の等しい兵士同志が戦う場合、圧倒的に有利なのは数の多いほうだということだ。E=1で単純に人数だけが半分である敵を相手にする場合、上の条件だと、27人ほどの犠牲で100人を壊滅できる。だから、敵軍が小銃しかなくて、自軍に機関銃が有った場合であっても、相手が多ければ勝てる見込みはあまりない。これはちょっと勘違いしそうなところだ。この場合で、Y軍が生き残るにはEがどのくらいでなければならないかというと、x=0でy=0となる場合、200^2=E・(100^2)であるから、40000=10000E。E>4でなければだめだということになる。いくら訓練をつんだ兵士であっても、人海戦術にはかなわないということもいえる。

この「ランチェスターの二次法則」についてよく考えてみると、第2次大戦中、なぜドイツの技術陣があれほど分厚い装甲を持った戦車を好んで設計したかということがわかってくる。数において劣勢であったなら、いくら攻撃力を強化しても、防御力に劣れば必ず敗北する可能性が極端に多くなるわけだ。もし、Y軍の兵士の防御力が高く弾2発を受けてやっとたおれる程度か、あるいはY軍の兵士だけ防弾チョッキを着込んでいたりした場合は、どういう計算になるのか。2倍の弾丸が発射できるのに、大差で敗北するというわけは、弾を打つ前に死んでしまう兵士が多いからであろう。しかし、防御力が高く、弾2発目でやっと死ぬという場合は、最初の敵の弾を受けて死ぬY軍の兵士は一人もいなくなる。直感的には、人数が増える効果よりも大きそうな気もする。仮に、命中率100%の場合、X軍が4人でY軍が2人だったとすると、最初の弾を受けたX群の死者は2人だがY軍の死者は0。次はY軍だけが発砲出来るのだから、X軍はこの時点で全滅し、結果はY軍がひとりの犠牲者も出さずにX軍の4人を殲滅できた。


以前「逆正弦の法則」で述べたこと、つまり「なぜ特定の人間だけが立て続けに幸運をつかむのか」ということと、個人の集まりである集団にはランダムな確率論が働くのかということを考えると、われわれの重大な思い違いというものに気が付く。即ち、意識を持っている主体が個人なのではない可能性が大きいということだ。少なくとも、文明世界の人間が当然だと信じ込んでいる個人とは、この一個の身体のことではない。集団で一個の固体なのだということだ。いわば、アリの社会での個人の意識に近いものが真実なのである。



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