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zoom RSS ノアの箱舟と並ぶ人類の考えた最大の船、パイクリート空母

<<   作成日時 : 2011/08/16 17:23   >>

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「氷山空母」という名称を始めて耳にしたのはもうかなり以前になるのだが、その頃は『戦時中の空想のような無駄な建造物で、どこかの大氷河を切り取って船にするものなのだろう』などと思って、大して気にも留めていなかった。その後ネットでも何回か検索してみたが『実現されなくて、かえって正解であった』などという意見ばかりであった。大体だれもが資源の無駄遣いに過ぎないといっているが、どうも思い込みによるようだ。高々この20年か30年の間に通湯していた経済上の効率性という法則を無条件に信じているだけだ。しかしながら、普通そう思うであろう。

しかし、『世界空母物語』という福井静夫の本を読んで、彼も『他山の石』とはしているものの、未完に終わったことを非常に悔んでいる。『氷山空母』などという名はついているものの、天然の氷山などの利用などではもちろんない。材料として、主にパイクリートを使用した100%人造の船である。

パイクリート[Pykrete]というのは、木材パルプ[Wood Pulp]を混入した氷の塊であり、パイクリート空母とは、「氷でできた航空母艦」のことだ、とある。ジェフリー・ナサニエル・パイク(1893−1948)という人の考案した素材だから、パイクリートという。彼の死は1948年のことだというが、それ以降今日まで、実用化のめどが立っていないというのが気になるところだ。水に4〜14%のパルプを混入して凍らせたパイクリートは加工が容易で、しかも氷の3倍以上の強度が有り、小銃の弾丸くらいは跳ね返す。

前にも言ったが、現在の科学技術というものは、進んでいるように見えても、思わぬところに陥穽があって、頑強なものを製作する力というものはまるで持っていない。もろいものしか作れない。鋼鉄製の原子炉の厚さがわずか15センチしかなく、戦車の砲撃で簡単に壊れるようなものであることには少しびっくりしたが、厚さ15センチ以上の鉄板を70年前のように緻密に細工する技術力が現代文明にはないことには危惧を憶える。今の力では、戦艦大和の半分の装甲を持った船を建造したとしても、浮かべた途端にあちこちから水漏れを起すだろうというのもなんだか情けない話だ。

仮の完成艦名をハバクック[Habbakuk]([Habakkuk]と表記すれば、旧約カルデア陣の謀略物語だ)と称するこの船の建造計画は、1942年9月に、第2次大戦中のドイツ軍の潜水艦による狼群作戦に対抗するためにたてられたというが、1943年の始めに、カナダのパトリシア湖で1000トンの模型船が建造された。この模型船は同年の夏に水温60度F(15℃くらいだろう)で運転を行なったが、最大速力7ノットで溶けることもなく、順調に走行したので、早速実物の建造に取り掛かろうとしたが、そのときには大西洋でのUボートの脅威は下火になっていたので中止された。

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計画されていたハバクックの排水量は170万トンから200万トン、長さ2000フィート、幅300フィート、深さ150から200フィート。外板の厚さは30フィート(10メートル強)もあって、当時のドイツ軍の最強力の魚雷を喫水下に受けても、直径20フィート深さ3フィートの凹みが出来るだけであり、その復旧は、艦内の過冷却水を流し込むことによって、すぐに元通りにもどるというものであった。復旧に関するこのアイデアはすばらしいものであって、このことに関することだけでも、いまだにその後の研究調査がなされていないようなのは大変残念である。復旧するといっても、過冷却水を流し込むだけでは、せいぜい海水を凍らせる程度のことしか出来ず、完全に元通りにするのは無理であったのではないかと思うのだが、実現していたなら、この時代の発明家というのは途方もないアイデアの持ち主ばかりであっただけに、今の人間では思いつきもしない解決法を見出していたかもしれないというのが残念だ。現在のように、世の中がこう安定して来てしまうと、斬新な発想というのが生まれないのは当たり前のような気がするが、先の地震と原子炉の事故がわずかの起爆剤になるかも知れない。

この氷山空母が、およそ300機の航空機を満載して、時速7ノットで推進する予定であった。推進器は、両舷に6台ずつ、艦尾に1機備え付けられるという計画だった。船体強度については、波長1000フィート、波高50フィートの波に対して十分であり、ローリング(船体の横方向のゆれ)やピッチング(船の前後方向の縦ゆれ)はきわめて少なく、発着間に支障はないというが、1940年初頭の計算値であって、現在計算しなおしたら若干の違いが出てくるかもしれない。本書の母体となったコラム自体が、1956年から57年にかけてかかれたもので、船舶の性能緒元が最も向上していた頃の記載であって、海上交通全般に他する国家間の後押しも盛んでありこの分野への技術者の期待もあふれていた。そうして、筆者がこのタイプの船舶に期待しているというのも、当時の船舶建造に関する技術力が、現在よりもはるかに高い位置にあったことを物語っている。ちょうどこの頃、「大西洋ブルーリボン記録』というものが盛んで、これは大西洋横断の平均速度で最高記録をとったものに与えられるものであったが、これは1952年にユナイテッドステーツ号が西回りで、35.59ノットというのを作った。東回り航路に関しては、いまだにユナイテッドステーツ号の34.51ノットの記録は破られていない。しかも1990年以降、ようやく記録を更新した船舶は、汽船でもなく、定期運航船でもない。であるから、近年この分野がどのくらい閑散として技量が忘れ去られているかが想像できる。


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