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zoom RSS 海の中はどのくらい明るいのか。

<<   作成日時 : 2012/04/18 16:28   >>

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昨日、地中海の透明度の高い海の写真を見て不思議に思っていたことがある。もしも単位体積あたりの重さに比例して、光の吸収というのが行なわれるとするならば、地球の全大気層の厚味で吸収される光量と、厚さ10メートルの海水で吸収される光量とは同じ程度でなければならない。分子の数にしても、空気1立方センチ当たりに含まれる分子数がおよそ10^19個であるのに対し、海水(水)の場合はおよそ10^22個だ。分子レベルでのミクロの振る舞いで考えると、大気層による吸収能力は海水の一万分の1程度であるといっても大過ないようにも思われる。光を吸収した分子は、受け取ったエネルギーの分だけ運動エネルギーを上昇させるのが普通である。これは熱の上昇となって現れる。そうだとすると、自由に運動しやすい気体の方が吸収力があるようにも思える。

『星の森』のところで、「夜空が水の33京倍(10^17倍)の透明度を持っていれば、地球に入射する光の総量は新月近くの地球照の33倍の明るさを持つに過ぎないことになる」というシェゾーの仮定を述べた。シェゾーが当時どういう計算によりこれを導いたのか分からないが、以下似たような試みをしてみることにしよう。


今、海面下で人間が太陽光を認識できるぎりぎりの深さを、ウィキペディアの主張を根拠として、およそ400メートルとしてみる。また昨日「海水の透明度はMAXで400m」などと書いたものをよく読みなおしてみると、「光が届かなくなり暗闇となる距離」がこの400mということらしい。太陽は−27等級で、人間が裸眼で認識できない星を8等級としてみると、この差の35等級が400mの厚みの海水による減光だと受け取ってよいだろう。5等級増加する毎に明度は100分の1((10^2)分の1)になるから、35等級で、(10^2)^7=10^14の減光が400mの海水の厚みによって生じることになる。では10mの海水によってどの程度減光されるのだろうかというと、この40乗分の1である。計算すると、これはおよそ2.2387になる。大気による減光がないと1等級か2等級ほど星の数が多く見えるそうである。1等級ごとに星の明るさはおよそ2.5倍になるのだから、同じ重さでは大気による減光のほうが少しばかり多くなるようである。10メートルの厚みの海水のほうが、地球大気よりも澄んでいるという計算になったが、実感とは大分異なっていると思う。それは散乱のためだろう。海の中は意外と明るいのであるが、激しい散乱のため何処でも一様な明るさなので、見るもの総てにブルーのもやが重なって見える。偏光フィルターの付いていないカメラで海中を写すと、全部が青一面で何が写っているのかよくわからないということになるはずだが(やったことがないのでどうなるかわからない)、テレビなどで見る海中散歩のビデオでは非常に色鮮やかにさまざまな景色が楽しめることを見ても、海中がかなり明るいということを示唆している。散乱効果が激しいといっても、太陽光がまるで光の柱のように海面下数十メートルくらいまで達している様子も窺える。

海水の光の吸収がこのような計算どおりには行なわれていない可能性ももちろんある。ナノチューブのような光の通り道が海中にできて、それがソリトン波のように減衰せずに遠方まで一定の情報を伝達しているということもありうる。また、昨日言ったような、高圧による吸収度の低下ということも起こるかもしれない。高圧により、分子運動が抑えられるのに、光の吸収率が変化しないのも考えにくいからである。


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☆4月19日追記:::
一様な光の世界とはどのようなものであるかを検証した心理学の実験がある。このように一様な光の世界をドイツ語でガンツフェルト[Ganzfeld](全体野、一様視野)という。ピンポン玉のようなものを半分に割って、それをアイカップにして両目を覆った状態で、明かりのあるほうに目を向ける。そうするとほぼ一様な光が網膜に届くことになる。このような状態に置いた人を観察すると、一般的には方向が不安定で面というものが感じられなくなり、やがて目に疲労を感じ、全体が暗くなったような気分になってくるという。色の感覚は次第に失われて、ぼんやりとした空間だけしか認識できなくなってくる。このような環境というのは、深海の散乱光に満ちた閉ざされた空間と非常に近いものがある。ただし、深海では上下の方向だけには際立ったコントラストがあり、足もとがまったくの闇であるので、非常な恐怖感を覚えることは想像に難くない。明るいところから見れば30メートル下の海底も真っ暗に見えるはずで、高所恐怖症の人は相当怖いだろう。ところが30メートルの海底に数時間とどまっていれば、次第に目がなれてあたりがよく見えてくるだろう。JAMSTEC海洋研究開発機構のページに「海面下300メートルでは月明かりのような状態」とある。やはり太陽の光がそこまで届いていることは確かなようだ。そこで海水による光の吸収率を一定だとみなし、かつ光の封じ込めが起こらないものと仮定すると、10メートルもぐるごとに星は1等級その明るさを減じるという計算ができる。10メートル下では、もし海面での反射がなかった場合、目のいい人で目視できたであろう5等星までの光が届いているということになる(5等星まで見えるということではない。)。



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