チェルノブイリ事故周辺国の平均寿命の低下の理由

チェルノブイリの原発事故は1986年に起こった。その前後ソ連全土において激しい動乱が生じて、国防軍兵士に給与が支払えなくなるような事態が続いてソビエトは崩壊した。1991年のことだから、事故のわずか5年後のことである。両者に因果関係はあるだろうか。

即ち1980年代前半のソビエト連邦における激しい経済危機を乗り切ろうとして打ち立てられたのが、1985年3月のゴルバチョフ体制であった。まさに改革のさなかに起こった事故である。チェルノブイリ原発の担当者も、何とか効率のよい発電を模索中のさなかの事故であった。悪いときには悪いことが重なるものであるが、次のグラフを見ると、革命前やソビエト中の平均寿命が著しく落ち込む中で、原発事故周辺に成立した諸国家、<span style=color:#e00>ウクライナやベラルーシといったチェルノブイリ事故の極近くにある国よりも、遠方のロシアのほうが寿命の低下がはなはだしいのだ。

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上のグラフを作成したのは[Asyura]というサイトなのだが、このサイトは終始放射能の恐ろしさのことしか訴えないところなのにもかかわらず、どういうつもりでわざわざこんなグラフを載せる気になったのか理解できない。グラフ自体も上下動の激しいものであって、原発事故が寿命低下のおもな原因であればこのように上下動の変化の激しい動きは示さず、滑らかなカーブで単調な減少傾向を示さなければならない。この変化は放射能汚染のような自然のものではなく、株価の動きのような人為的なものが大きな原因となって背後に隠れていることを示唆している。それに加えて、原発事故のあったウクライナに寿命低下の影響が少ないのだから、どうしてこんなグラフを紹介する気になったのか全く不可解だ。驚くことに「上のグラフを見れば放射能の影響で寿命が低下していることは一目瞭然」みたいなことが書かれていて、そういう風に言われるとそうかと思ってしまう人もいるようなのである。中学校くらいで「これこれこういう主張を繰り広がることは正しいか否か」という設問を出されれば、8割以上の学生が「否」と答えるような簡単な誤謬がなぜ生まれたのか、全く見当が付かない。

晩発性の影響ということに関していうと、さらにおかしい。微量放射能の場合の影響が現れるのは20年後か30年後で、その頃に一挙に死人が増加するなどというのが事実であったならば、1986年の20年後である2006年ごろからは影響が出てきてもよいのに、現実は全く逆で、今頃になって寿命が回復してきている。しかも、乳幼児死亡率はロシアでは高いが、チェルノブイリ周辺国ではかなりの減少傾向が見られている。これが本当なら、福島近郊は今後日本有数の高寿命地域となりそうだ。「乳幼児、幼児は放射能に弱い」といわれるのが普通だが、これもちょっとおかしい。「乳児は放射能の影響を受けやすい」までは本当だろうが「弱いのか強いのかわからない」ので、とりあえず弱いことにしておけば無難、という程度のものかもしれない。

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     NK225とドル相場だが、これこそ寿命問題が心理作用だということを表している。
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ロシア地域―人口の多さと地域全体の大きさからして、旧ソビエトを代表しているといえる―の平均寿命の低下グラフは、最近の日経平均株価(上図)の動きと対応しているところがある。このような動きは、単発の原発事故の影響によっては到底作れるものではない。ロシアの平均寿命の低下の主因は次のサイトに書かれているとおりだ。多分、上の図もここから借用したものに少し手を加えたものなのだろう。このサイトには、チェルノブイリの放射能汚染の影響のもっとも大きいのはベラルーシであるのに、それに応じてベラルーシで平均寿命が低下したという事実はないことが書かれている。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8985.html
以下はここからのコピペ。
「・・・1950~60年代には、OECD諸国(高所得国のみ)と同様に平均寿命は改善に向かっていた。当時から男女差は平均以上に開いており、女性の平均寿命はOECD平均並みであったが、男性は数歳OECD平均より低かった。

 その後、ソ連邦下の計画経済期、1991年ソ連邦崩壊後の市場経済期を通じて、起伏はあるが、全体に、男女とも低下傾向をたどるとともに、男性の平均寿命が特に低下した。女性はピーク時より3歳程度、男性はピーク時から7歳程度平均寿命が低下した。OECD諸国が全体として順調に平均寿命を伸ばしているのと比較して、著しく対照的な推移となっていた。

 こうした推移は、死亡率の上昇(特に男性)によるものであり、「1992年から2001年の間までの死者数は、例年より250万人から300万人多かったと推定される。戦争や飢餓、あるいは伝染病がないのに、これほどの規模の人命が失われたことは近年の歴史ではなかったことである」(国連開発計画「人間開発報告書2005」)

 時期別に見ると、経済計画期においても、1970年代に入って、平均寿命が低下する傾向となった。社会主義圏をリードする国威の発揚のため民生が犠牲にされる結果になっていたといえよう。これでは国がもたないということで対策が打たれたのであろうか、1980年代に入って、平均寿命が回復しはじめた。しかし、1985年に就任したゴルバチョフが企業の独立採算制と自主管理制を導入する経済改革などペレストロイカ政策を本格実施しはじめた87年から、再度、平均寿命は低下しはじめ、1991年のソ連邦崩壊後、1994年にかけては、急激な平均寿命の低下をみており、この時期の社会混乱の大きさをうかがわせている。

 その後、いったんは回復に向かうかに見えた平均寿命であるが、1998年以降は、再度、一進一退の状況となった。2006年以降、やっと回復の傾向となった。それでも、過去のピークまでは回復せず、なお、OECD平均にくらべて、女性では9歳程度、男性では、15歳程度も平均寿命が短くなっている。

 ロシアは、社会システムの崩壊がもたらす大変な状況に襲われたと想像されるが、以下に、ロシアの平均寿命の短さについての要因分析を要領よくまとめている国連開発計画UNDPの報告書から引用することとする。

「死因を調べるといくつかの事実が明らかになる。ロシアでは、食事と生活様式の影響で、心血管疾患の発生率が高い。ロシアではこの「先進国病」のほかに感染症が増加しており、結核やHIV/エイズの脅威が増大している。殺人や自殺も、アルコールの過剰摂取と密接に関連している。

 労働市場の改革、1990年代の深刻かつ長期にわたった景気後退、そして社会保障の崩壊が人々の心理的ストレスを増やす結果となったと考えられる。これは、アルコール消費量とアルコールが原因の病気に表れている。同時に、法、秩序および治安を扱う国の制度が崩壊したことに伴い、暴力的な犯罪が増加している。インフォーマルな経済活動や、暴力にものを言わせた取り立ても、平均寿命低下の原因となっている。1990年代前半だけで男性の殺人被害者は2倍に増えた。・・・」


もはや、「微量放射線は健康に悪い」などと言っている人間は、かつて「高層建築は木造平屋建てより危険だ」などと主張していた人間と同レベルにまで堕しつつあるのかもしれない。


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著者藤野薫(編著)出版社せせらぎ出版発行年月2004年04月ISBN9784884161330ページ


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