森の散歩

アクセスカウンタ

zoom RSS 風が吹けば気温が上がる

<<   作成日時 : 2018/05/26 10:02   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

気体の温度というのは、熱的平衡にある分子の平均の運動エネルギーのことである。温度計で測る温度などというものもそうしたものなのであるが、上の温度の定義とはかなり異なるもので、上の温度の定義だと、強風が吹いていれば高温になるはずである。しかし通常の水銀温度計で測る気温というのはそうならない。空気の分子というのは、20℃で平均して毎秒500mほどの速さで動き回っているそうで(*)、50メートルくらいの暴風が吹いたところで温度などあまり変わらないのだというのがその理由である。僅か熱くはなっているらしい。もっとも、「平均」というのが曲者で、自然現象というものはたいてい分子サイズのミクロの動きが拡大して大きな動きを作り出していくものであるから、必ずしも単純に計算通りいくとは限らない。
(*)2乗平均速度という。速度を2乗したものの平方根のことだ。速度から符号をとったもののことだといえる。二乗平均速度は絶対温度の平方根に比例し、気体分子の質量の平方根に反比例する。それにしても音速をはるかに超えるとは驚きだ。

気体の温度が分子のスピードによってもたらされているということは、断熱膨張ということを考えてみてもわかる。空気の固まりを押しのけて膨張した場合は確かに温度は下がるが、真空の固まりの中で膨張した場合は温度は下がらない。前者の場合、分子同士が激しく衝突したため、エネルギーが失われて温度が下がったのであるが、後者の場合はそういうこともなく慣性で分子が真空中へ飛散していっただけなのだ。断熱圧縮の場合も、宇宙船の大気圏突入時のことを考えてみても同じことがいえる。大気を圧縮する場合は高温になり、しばしば宇宙船が溶ける程になるが、真空をいくら圧縮しようとしても温度は上がらない。 マッハ3を超えるジェット機の場合でも断熱圧縮による「熱の壁」がしばしば問題になるそうだ。

分子の運動エネルギーのグラフを描いてみると、ちょうど黒体輻射のグラフとよく似ている。これは輻射も分子運動のエネルギーがもとで起こるということを示唆している。どちらも温度変化なのだから似ていて当然であるといえるが、片方が分子の運動であるのに対し、片方は分子の励起である。

地球の気候が複雑な様相を呈するのは、水という物質が時により予想不能な動きをすることが大いに関係していると思う。例のムペンバ効果のことがある。湯のほうが水よりも速く凍る場合もあるというのでは、天気予報が不可能なのも頷ける。飛行機の墜落事故がしばしば連続して起こるのも、あれは心理的要因などではなく、自然界の条件がたまたま逆向きに作用したのではないかと思うのだ。

モルなどと言う大きな単位で考えるから、10の23乗個などという数にぶらつきなどないように錯覚するだけで、天気などというのは、高々100個くらいの分子がランダムに膨れ上がって現実の世界で活躍し始めるものなのだろう。100個の分子がたまたま同じ向きに整列し雪だるま式に我が物顔にふるまう確率などそれほど低くはないだろう。10の100乗分の1の確率とすれば、人の一生ではとても起こらないだろうが、自然世界では1000リットルに1個は確実に起こるようなありふれた確率だ。

19世紀になると、圧力が一定の下では、気体の温度が1度下がるごとに、体積が273分の1減るということが分かった。低温になると、気体分子も凍えて動きが鈍くなるためだ。ついには凍死してしまうかというと、そのようなこともないらしいが、原子を構成する陽子とか中性子といったものには寿命というものがあるらしい。零下273℃で体積がゼロとなるが、これを絶対零度などという。しかし、負の温度も一応は考えられている。

通常、水とか氷とかいうと、とかくH₂Oの集まりだなどと思いがちだが、分子の速度と温度が同等であるという観点からすると、どうやらそんなのは案外妄想みたいなもので、水や氷はH₂Oとは別の物質だ。水蒸気のみが大凡H₂Oの集合体だといえる。水の中を物体が進むのは、常に水を破壊して進むのであるが、その際にもH₂Oが現れることはまずないと思う。それなのに水はH₂Oの特性を示す。全体は部分とは全く異なる、という日常の常識からすると、これは奇想なことである。もっとも「水クラスター」というものがH₂Oの特性を示すかどうかはわからないそうだ。環状のクラスター (H₂O)n について n を 3 から 60 までのものの構造が検討されているとあるが、そのような小さな集まりではなく、コップの中の水でもnの値は小さいものでも何万という分子のつながりになるのではなかろうか。不純物が多く混じるほどクラスターは小さくなりそうだ。



図解・気象学入門 原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図 (ブルーバックス) [ 古川武彦 ]
楽天ブックス
原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図 ブルーバックス 古川武彦 大木勇人 講談社ズカイ キショウガ


楽天市場 by 図解・気象学入門 原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図 (ブルーバックス) [ 古川武彦 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル







【送料無料】 HOW TO分子シミュレーション 分子動力学法、モンテカルロ法、ブラウン動力学法、散逸粒子動力学法 / 佐藤明(1958-) 【本】
HMV&BOOKS online 1号店
基本情報ジャンル物理・科学・医学フォーマット本出版社共立出版発売日2004年12月ISBN97843

楽天市場 by 【送料無料】 HOW TO分子シミュレーション 分子動力学法、モンテカルロ法、ブラウン動力学法、散逸粒子動力学法 / 佐藤明(1958-) 【本】 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
風が吹けば気温が上がる 森の散歩/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる