森の散歩

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zoom RSS 『スノーボール・アース』を読んで。

<<   作成日時 : 2018/06/02 10:49   >>

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誕生後まもなく地球が全球にわたって凍結したという話である。生命による酸素の産出により、温暖化ガスのメタンが分解され、さらに二酸化炭素もなくなり、温暖化効果が消えたために、地球全体がひどく冷えたというストーリーだ。確定された事実のように伝えられているが、真実かどうかはよくわかっていないらしい。

はるか太古の太陽は現在より3割も暗かったのだから、現在でさえも温室効果なしではマイナス18℃という地表温度はもっと下がっていたはずだというのだろうが、この理論の欠点は地球内部の活動を考えていないというところだと思う。誕生直後の地球はひどく熱く、火山活動も盛んだっただろう。おまけに放射性物質の数も現在より何倍か多かったはずだ。そうした状態で簡単に冷えるものかどうか。太陽光線など全くなくても、地表からは赤外線が常時出ているのだし、地底深く潜れば可視光線だってちゃんと出ている。地下の鉄のコアは現在でも太陽表面と同じくらいの温度だそうだ。もしもマントルや地殻といった外套がなかったとしたら、光り輝く鉄のコアなどたちまち冷え切ってしまうだろう。

まあ、その前にこの話には温室効果ガス、特にCO₂の役割が重要だということが前提になっているように感じるので、そのことを最初に検討してみる。

日向ぼっこをすると暖かいが、あれは太陽からの赤外線のためかと思っていたら、どうも赤外線の多くは地表面から出ているらしい。どの波長の光でも結局光が強ければ暖かいのだ。地表や海表が受ける太陽からの輻射と、地表や海表から放出される輻射がともに等しいことを考えると、温暖化に寄与する赤外線の量は地上からのものの方がはるかに大きいはずだ(太陽はおおむね黒体輻射だが、地球表面は異なる。)大気中の異分子同士が結合することにより、その結合部分が赤外線と共鳴することでエネルギーを獲得するというのが、温暖化ガスの本質だ。だから、下の方から順繰りに暖かくなっていく。温暖化が捏造だという人がいるが、彼らは太陽のことばかり考えて、赤外線のほとんどが地表からやってくるものだということを考慮していないのだと思う。下のグラフは、上が太陽、下が地球の黒体輻射モデル。700〜800ナノメートル以上の波長が赤外線だ。太陽の場合は赤枠より右部分、地球の場合は全てとなる。
     
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CO₂は4000ナノメートル付近の赤外線を最も吸収しやすいという。地上からのほうが何倍も多そうだ。したのCO₂の吸収線をみると、地上にしか見られないようなものもある。人体も空気も赤外線に共鳴しやすいので暖かくなるのだろう。しかもCO₂は空気より5割も重い。だから地上付近が最も熱くなるのだろう。分子1個でも光(赤外線)を吸収すればそれだけ熱くなる。簡単な実験もかなり行われている。これだけ証拠がそろっているのに、反対派がいるというのは、どうしたわけだろうか。何物をも外部に逃さないブラックホールが放射活動を行っているようなものだろうか。ホーキング温度というやつである。しかし反対派の意見を聞いていると、赤外線を宇宙空間に放出することはないから温暖化しないだとか、たがいに放出した赤外線同士が打ち消しあうだ(懐中電灯を向かい合わせに照らすと打ち消しあって暗くなるのだろうか)とか、苦し紛れの詭弁としか思えないようなものもある。一番多かったのは、熱力学の第二法則に反しているというものだった。エントロピー増大の法則というものだが、エネルギーのもとは太陽と地球深部から来ている。永久機関でもなんでもない。加えて彼らの考慮していないのは時間の経過ということだ。2酸化炭素で満たしたペットボトルでさえ、温度が数度上昇するのに1時間はかかる。地球サイズならどれだけかかるだろうか。IPCC(国際政府間パネル)でさえ、100年間にたった2℃という遅いペースでの温暖化を見越している。それではだれも驚かないというので変な都市伝説のようなものが横行しているらしいが、そんなことを言い出したのはだれなのだろうか。インターネットが出どころなのだろうか。CO₂濃度というのは400ppmしかない。100万分の400だ。だからこれが倍になったところで非常な時間がかかることはありそうなことである。火星の気圧を考えると、地球の二酸化炭素は火星より少なそうだ。金星の場合の二酸化炭素温室効果は顕著で、温暖化ガス無しでは零下50度以下だという計算だそうだ。

     
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大体において、赤外線吸収は振動による分子共鳴で起こるものだが、電子励起による可視光及び紫外線吸収も共鳴で起こるものだ。このほかに分子の回転がもたらすマイクロ波や電波の吸収もある。ウィキペディアの「赤外分光法」に説明が載っている。電子→分子振動→分子回転の順に、吸収から放出に至るまでの時間が長くなるのが普通であるはずだ。短波長の可視光線がエネルギーが高いのにも限らず暖かくないのは、大気がそれを吸収したとたんに放出してしまうからだろう。まるきり同時であったならば、それは透明だ。「蓄熱」という言葉の意味するところは、一定時間の保持を意味する。電波天文学などでよく観測に利用されるものに、中性水素の出す波長21センチの輝線というものがある。なにも吸収していないのに電波を放出している例であるが、水素原子一個につきこのようなことが起こるのは100万年につき1回ほどでしかないという。それから赤外線はあらゆる原子が出している。赤外線を出すというだけでは温室効果があるとはいえない。原子が放出する光はまたその原子によって吸収されるという法則があるが、水素原子にしても、赤外部に属する多くのとびとびの光を放出している。だから同じ波長の光も吸収しているはずだ。それなのになぜ温室効果はないのかというと、瞬間的に吸収と放出を行うからだろう(*)。

(*6月21日追記)
ガラスの中を光が伝わる速度を見てもわかるとおり、電子の励起による発光はほとんど瞬間的に起こる。ガラス中の光速度は真空中の3分の2だ。その中で正確に入力した光と全く同一の光を正確に180度反対側に放出するまでの時間は、だから光速度の3分の2と少しかあるいは3分の2ぴったりなのだろう。これに対して振動遷移は1000分の1秒程度、回転遷移に至っては1秒近く吸収保持の時間が続く。その間にずいぶんたくさんの分子と衝突して気体速度を上げるらしい。そうしてそのまま発光せずに元の状態に戻る場合が多いそうだ。そうなら温室効果の理由は簡単だ。光を吸収して、光子の静止質量分だけ重くなり運動量を増やした分子が空気分子と衝突を繰り返す。当然気体の速度は以前の状態よりも少し増すわけだ。気体分子の平均速度が上がるということは、すなわち気温が上昇するということだが、それにしてもIPCC の言っていることは、今後100年間で2度から4度気温が上がるということに過ぎない。だからそれほど大騒ぎしている人など温暖化を認めている人の中にはほとんどいない。温暖化に反対している人が、彼らは感情的で理性がないということを際立だせるために噂しているだけに過ぎない。





さてさて、本論の全地球凍結だが、それほど驚くほど革命的な観念なのだろうか。だとすると、地質学者などというのも随分固定的だなと感じた。

スノーボール時代とは、いわゆる氷河期のようなごく短い快適な涼しい避暑地のような時代ではなかったとは書かれているが、それでも生命が存在できるような状態ではなかったなどというのは果たして本当なのだろうか。表面は凍てついてはいるが、地の底の鉄のコアはいつでも6000℃という光り輝くどろどろの液体なのだ。いや原始に近い状態の地球ではもっと熱かったかもしれない。マントルに含まれる放射性物質の総量にしても、今よりずっと多かっただろう。半減期を逆にたどって各々加算すれば、おおよその分量は目星が付く。

全球凍結のようなアイデアを抱いた人はかなり多かったらしいが、公表しようという人はあまりいなかったようだ。どうせ昔起こったことは確定できはしないのだから、面倒なことはやめにしようという気持ちなのだろうか。

この本にはそうした先輩格の一人として地質学者のブライアン・ハーランドの名があがっている。北極探検隊とほとんど同じ重労働だ。ブライアンは極北の石や岩を徹底的に調べ、全地球が氷河におおわれた痕跡を初めて発見した。1949年8月にスバールバルの地層を調べた彼は6億年前の地層に氷河の痕跡を見つけた。6億年前、グリーンランド東のスバールバルは確かに熱帯性であった。この地方の炭酸岩塩は暖かい海でしか起こらない。グレートバリアリーフやインドネシアの島々の海底と同じだ。それがブライアンの理論の始まりだった。そうしてカンブリアの生命の爆発が、氷が解けたことによる躍動であるということにも気づいた。そうしてすぐに理論の執筆にとりかかった。しかし、今日雪玉説の提唱者として彼の名は冠せられていない。1963年に勇んで持論を展開したが、時節に合わなかったらしい。時の運というものがある。ブライアンを虜にした岩石の移動は、氷河などが運んだものなどではなく、単なる土石流がそうさせたものだという見解が主流であった。

さらに古く、ブライアンをさかのぼることおよそ100年、ルイ・アガシというスイスの研究者も地球規模の氷河説を唱えていた。彼は哲学と医学で学位をとったが、古生物学にも興味を持っていた。化石魚類についての研究で博物学の教授になっていたが、地質学者ではなかった。もっとも、彼の考えた氷河期は我々のよく知っている穏やかなものであったが。

土石流の提唱者のジョン・クロウエル自身が、氷河説を受け入れ始めた時節に、今度は大陸移動説が脚光を浴び始めた。大陸移動説のウェーゲナーが無視された程度はブライアンの比ではなかった。誰からも認められない内に、ウェーゲナーはグリーンランドの氷上の基地からの脱出の途中で死去した。ブライアン自身も大陸移動説の正しさを疑っていなかったが、ウェーゲナーの死後30年以上もたってから磁針の方角の調査により大陸移動説の正しさが認められた。しかし、大陸が動くなら、わざわざ氷河説など考える必要もないということで、地球凍結の話の方は相手にされなくなっていった。それに、大陸は光を反射しやすいので、過去に大陸が赤道付近に集結していたとすると、スノーボール説にとっては非常に都合がよくなる。ごく単純に考えると、地殻のほうが海より重いので地球の回転により赤道部に集結するわけだ。

すべては地球磁場の動きにより解決されてゆく。次に現れたのは、ジョー・カーシュヴィンクだった。カルフォルニア工科大学の教授だ。北を探り当てるバクテリアがいるというので研究していた。食料を得るためというが、北半球では磁力が下向きになっているためだという。南半球では南が下なので、そっちの方向にバクテリアが泳ぐ。ジョーは人間の脳にも磁石があることを発見した。磁石好きの彼の子供の名は、「ジセキ」と「コウセキ」だそうだ。動物が磁場を利用して自信を土地している可能性があると主張したのも彼だそうだ。1980年代にはスノーボール仮説に惹かれた。そうしてこれまでの誰よりも完璧な理論を打ち立てた。ハーランドの時代にはできなかった、磁場の上書きがないことが明らかにされるようになったからだ。しかし、自分で納得するともうそれきり興味が失せてしまった。磁石が好きだからちょっと調べてみただけだったらしい。

ジョーは初めは全球凍結など過去にはあり得なかったことだと思っていた。雪や氷は日光を反射する。冷え切った地球はますます凍り付き、2度と氷が解けることはない筈であった。しかし、現実はどうもその様ではない。赤道まで凍っていたようだし、酸素が豊富で鉄分が海に蓄積されないはずの年代層に豊富に鉄鉱石が堆積している。これはいけない海面を氷河が覆って長い期間にわたって蓋をしたからではないか。やはり全球凍結はあったのだ。

そこでジョーが思いついたのが火山活動であった。溶岩は氷を溶かしはしないだろうが、火山ガスは大気を覆う。火山ガスには温暖化ガスの二酸化炭素がふんだんに含まれている。何百万年にもわたる温室効果で地球は焦熱地獄と化したのである。ここで最初に述べた話が効いてくる。ジョーは自分の仮説を固い雪礫にたとえて「雪玉(スノー・ボール)仮説」と名付けた。ハーランドの「インフラー・カンブリア氷河時代」などという遠回しの言い方よりずっと面白い。だが、これだけのことを考えたにもかかわらず、ジョーの関心は他のことに移ってしまった。それから何年かたって、彼はポール・ホフマンの論文を読んで悔しがった。

ホフマンは炭酸岩塩に注目した。炭酸岩塩は熱帯の海のものだ。これにホフマンは炭素年代法を適用した。爆照葉というものは炭素13よりも炭素12の方を好む。だから炭酸岩塩に含まれるのは重い炭素であるべきなのだが、見つかるのは軽い岩塩のみ。彼はこれは生命活動の停滞と見た。

ポールは完ぺきな論文を十分な推敲の上、1998年夏に発表した。彼は時節を大陸移動説と重ね合わせた。雪玉説は絶対に正しいのだ。今や時は熟した。反対勢力は次々と潰れてゆく。ポールの直感的跳躍は羽ばたいた。

いったん刷り込みを受けたなら、科学の世界でも脱却は難しいということをウェーゲナーの伝記を書いた人は的確に述べている。これが今温暖化反対論者の陥穽なのだろう。最後にはとんでもない机上論を持ち出すことになるわけだ。まったく、数々の実験により、二酸化炭素の温室効果は確かめられているというのに、この人類の閉鎖性というのは何だろうかと思う。物理学や化学といった学問を学んだものでさえ、実験結果を素直に受け入れられないとは実に意外である。

熱帯地方や赤道直下でも、海は完全に凍り付き、生命の痕跡は地上からは消えた。その後何百万年も氷河期が続き、ほんの数世紀の内に強烈な温室へと変わった。火山ガスの主成分である二酸化炭素の温室効果による灼熱地獄だ。二酸化炭素は空気の1.5倍ほど重い。だから火山ガスは低層にたまる。そうして地上からの赤外線を受けて自然に温まる。この温暖化効果を抜きにしたら生命の復活もない。なにゆえにこの明らかな効果をないものにしようとするのだろうか。

スノーボール説は、すべてを説明できそうなアイデアに思えたので、世界は複雑であると信じている人々の大いなる批判材料となった。単純すぎる見解というのはたいてい間違っているものだが、時に正しいこともある。

「赤道で季節の移り変わりは起こらない」から地軸の傾きが昔と今では異なっていたなどというのも書かれていたが、傾きが変わらなくても、変化をもたらす要因はあるのではないかという気もした。それに、赤道直下では、春分と秋分の日に太陽が真上に来て、やはり23℃はずれる。あまり変わらないという程度だと思う。それよりも、磁極が赤道付近にずれるということの方がありそうである。その場合赤道にも大きな季節変化が生じるのかもしれない。磁極がずれれば、赤道付近の厚い太陽光防御システムも消えるからだが、そんなことを考えなくてもよいかもしれないというのが、気象学者のシミュレーションだ。

全球凍結した地球の天候はひどく単調だ。毎日が同じ風だという。こうした火星並の単調さでは、季節の変動は極端に強調されるという。赤道であってもそうなるというのだ。地球の気候が穏やかなのは、極限状態を防ぐメカニズムが働いている。大きな役割を果たすのは海洋だ。

全球凍結といっても、案の定文字通り全球凍結などではなく、海底火山の真上などわずかに穴が開いていたらしい。そうでないと生命活動が維持できないらしい。氷の層の下には日光が届かないので、生物の死を招くという。日光がなくても生きられる生物も結局は寄生しているのだそうだ。どうしても真核細菌は生き永らえさせたいようで、メタン細菌などからの再出発ではだめなようだ。そこで、ポールらは氷の穴から漏れる光がどのくらいあれば生命維持が出来るかを計算した。千か所あれば十分だ。一つの避難所に必要な個体数も千前後だ。穴の大きさはせいぜい直径25センチもあればよいという目論見だった。現在の凍った海にも、変則的な海流によって1年を通じて氷が出来ない場所(ポリニヤ)があるそうで、クジラの息継ぎ場だという。

そうして、氷が後退した直後に様々な複雑な生命体が現れたという痕跡は実に多く見つかっている。いわゆるカンブリア爆発というやつだ。この事は如何にも物好きな人々の注目を浴びそうなことだ。しかし、化石が残っているだけで、生命が大進化したのはもっとずっと前かもしれない。別に爆発などしたわけではない可能性もある。まずクラゲのような骨格を持たない生物が大発生した後で、魚みたいなものが生まれた。後から見ると、魚の骨だけしか残っていないというわけだ。

最初の全凍結が誘因となって、多細胞生物が出現したという可能性も否定できない。ただ人間の目にはそれらしく見えるということに過ぎない。DNAによる解析も当てにならない。昔ほど遺伝子の変化速度が速かったということも大いに考えられるそうだからだ。動物の祖先が生きていたのは12億年前という推定もある。そうだとすると、凍結など生物の大進化にはあまり意味を持たない。生命については憶測で、凍結による圧縮膨張が興味本位に語られているだけのようだ。

地質学者や生物学者たちが疑っていないのは、二酸化炭素の温暖化効果だけだといっていいくらいなのだが、不思議なことに、各種実験によって実際に温暖化効果が確かめられているというのに、現実の世界でそれを否定する何とも奇妙な生物が存在する。それが人類というものだ。



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