金融資産の決め方

野村証券の研究機関の調べでは、ここの所毎年のように富裕層の割合が増加しているというが、いったいどうやって計算しているのだろうか。総数については、税務署の報告に基づいているだろうし、各金融機関が「これこれからこれこれまでは何人」ということだけは言ってているとしても、それだけでは個々人についてはわからない。アンケート調査に基づくところが多そうだが、それだと、とりわけマネーというものを軽蔑しているような人は、仮に100万円保有していても、「うちには貯金なんてありません」と答えるだろうから、貯金ゼロの世帯とみなされてしまうだろう。それでなくても実際より少なめに答える人が多いと思うので、まあ極めてあてにできないが、およそ10%近い家庭が金融資産5千万円以上を保有しているというが、それでは例の年金2千万円騒ぎは一体なんであったのだろうか。金融資産3千万円未満しか保有していない最下層(マス層というらしい)は8割に満たない。しかし3000万以上保有している家が2割を超えるというのに、世間は騒ぎ過ぎだとも思う。

一昔前と大きく異なるように見える点は、昔は収入が多くなければ富裕層の仲間には入れないとする傾向があったのに、今は収入が多いと1億円ためても仕事を辞めたならすぐに財産が減少するので大金持ちになるのは難しいとしていることがあげられる。多分、野村総研では収入の多さを基準として富裕層を5億円以上と決めたのだろう。それで大富豪レベルというのがないのだと思う。肉体仕事をせずに資産を増やせるようでないと、大金持ちにはなれないということだ。だから証券会社の社員なら、1年で資産を10倍以上に増やしている人など、たびたび見かけていて、彼らは直に10億円以上ためてしまうのだろうが、それについては何も触れていない。こんな人も1000人に1人くらいはいるらしいが、元来怠け者なのである程度ためるとやめてしまうらしい。10億円ためてもまだ頑張っている人などほんのわずかだというのが日本人特有の性格であるようだ。

前々から、平均残高よりも中央値の方が実際に近いなどといわれているが、平均預金残高がきわめて正確なものに対して、中央値などはアンケートで集めた人の真ん中というだけらしいので、人々が真に受けそうな中央値のほうが嘘により近いのかもしれない。あちこち家の中をかき回してみれば、どこの家にも1000万くらいの金融資産はあるということなのだろう。すぐ前に書いたとおり、アンケートなどにまともに正直に自分の貯蓄額を打ち明けるなどという人間が一体どのくらいいるだろうか。多分全員控えめに三分の1くらいのところを選んで丸を付けたりするのだろう。わかっているものは金融資産総残高と国民の総数だけである。どういう統計をとっても、アメリカ、日本、ドイツの3大大国は億万長者が多いことでは当分の間固定的であって、意外なことはあれほど人口の多い中国の活躍が目立たないということだ。


世界の基準ではドルを基準として、100万ドル以上の金融資産を保有しているものを富裕層としているらしい。超富裕層は3000万ドル以上で、これは野村證券の定義とは大分異なる。大体日本の超リッチな層は500万ドル以上らしい。日本ではせいぜい数十億もためると、もうそれ以上増やそうというものはあまりいないらしいからだ。日本は海外と違って、超金持ちも超貧乏もいないからで、そう考えると日本は世界的には平等の国だ。それでも資産1000億を超すものが50人もいるのはあまり感心できないだろうし、平等とは思っていない人が多いとは思うが。

平等の尺度を表すものとしてよく引き合いに出されるのが「ジニ係数」であるが、これは単に金銭だけを対象としたもので、本当の平等とはかなり異なる。個人的な偏見でどうとでも細工できるようなもので、中国が世界一平等な国であると主張することもできるわけだ。

昨年来の新型コロナ対策で海外諸国と際立った対比を見せたのが日本政府には何一つ強制策が打てないということであった。日本では何をするのも国民の自由で、国からは何の規制もない。ただこうすれば好ましいということしか言えない。マスクなどしようがしまいが罰金を取られるわけでも何でもないので、外国人でも特にロシア人らしい人は大概マスクはしていないが、日本人は大概マスクをしている。ロシアなどではテロ事件で死ぬ人のほうが何倍も多いので、罰金を取られてもマスクなどしないのだろう。しかし日本人は自由であるのに自分から自由を放棄しているようなのは面白い現象だ。自由を放棄しているから平等があるのだろうか。


世の中はモノの見方でどうにでもなるということを示す例が聖人君子として通っている歴史上の偉人である。こう言っては罰が当たりそうだが、ゴーダマなどは今ならきっと神経症に違いないのである。ひねもす生老病死に悩んで夜も寝られないという人にはまず適切とされる医学的処方が下される。現代社会は彼が正常な哲学的見解を擁しているとは受け入れない。

こうした従来とはかなり逆さまの考えが貯蓄の分野で現実となって現れたのが、「高収入では大富豪にはなりにくい」という見解だ。単なる思いなしが多数派となって結束すると現実の社会ではっきりした形となって現れるというところが面白い。昔からの常識みたいなものは、「収入が多くなればそれだけ暮らし向きが良くなる」ということで、今でもそれは同じだ。それで年収1000万のものは年収500万のものより金持ちで、年収500万のものは250万のものより金持ちだなどという気持ちが生まれる。収入の寄与は資産家にになることに関しては5%ほどの寄与しかない。5%を95%と勘違いしたらそれはまず逆向きに作用するだろう。
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