顆粒球細胞とリンパ球細胞
安保徹の「免疫革命」という本を読んでいたら、「クーラーと冷蔵庫が病気を増やした」というくだりが出てきた。クーラーで病気になる人が増えるというのはよくわかる。わかるどころか、デパートなどが、クーラーを効かせすぎて、入り口の前の通りにまで冷気を流したりしているのに出会うと、大変不愉快になる。そこへ行くと、銀行というのは一般に穏やかでよい。特に、住友銀行などは、三井銀行と合併するずっと前からそういうところは気に入っていた。だいたい、30年も40年も前から、夏場に扇風機を回しているのは、住友ぐらいしかなかった。後はどの金融機関へ入っても常に不愉快であった。最近になってやっと金融機関などには、節度というものが見え出してきたが、まだ、松坂屋だとか三越などといったデパートは節操というものを知らない。イオンだとかイトーヨーカドーは少しまともになってきたようだが、まだ銀行などにはかなわない。まともになっているのではなくて、景気がなかなかよくならないので、やむなく節制しているだけなのかもしれないが、バブル経済のころのことを思うと、世の中というものは今の方が格段によい。だから、GNPだかDGPはこのまま停滞を続けたままで、失業率だけ改善してゆけば、世の中の明るさは維持できるのではないかと思える。
それはそれとして、冷蔵庫のほうは普及してなぜ病気が増えたかというと、どうも食中毒のようなものは減ったが、いきなり冷えたものを取り込むという習慣が身体に悪かったらしい。道理からいっても、人間のような恒温動物は、体温を適度に高めることで生きているのに、せっかく温まった体温を冷やすというのは、そもそも妙な行為だ。天命に悖るというか、考えなしの行為である。少なくとも、知恵のあるものの取る行動ではない。からだの細胞のことを思うと、彼らにはたいへん思い遣りのないものだといわざるを得ない。
安保氏は、現代医療の誤っている代表として、パーキンソン病患者にドーパミン前駆物質を投与することの根本的な過ちを述べている。パーキンソン症候群の患者は、交感神経過剰で起こるものであるから、交感神経を合成するドーパミン前駆物質の投与は本質的に無意味であるとといている。しかし、反対しているわけでもなんでもなく、前後の文章を読めば短期的には現代医学の治療効果は認めているということもわかる。免疫療法には理論というものが欠如しているので、自分はその理論をのべているのだと散々断っているのだが、それだけ断っても分からない人は分からないようだ。ちなみに、「安保徹」で検索をかけると、「安保徹 トンデモ」というのが出てきたが、そこでのべられている『免疫革命』についての批判を見ると、反対に読解力のなさのための思い込みで間違ったことをのべているに過ぎないということがよくわかるのだが、これほど理解力を欠いた者に通常の文章を書く能力があるということに返ってびっくりする。年齢いかんにかかわらず、20代でも頭の固いものは固い。年を取るにつれて頑迷さの度合いが増えてゆくというのはあるが、これは思ったほどひどくはないのではないかと思う。バクーニンのいうように、若くても自分の頭で考えるような人間は1千人に1人もいないと思う。私の見るところでは、頑迷な石頭というのは、大体身近なものを常に否定するような性格を持っている。こういう人は年をとると、若い頃は聡明ではあっても、まずだめなようだ。
何人かの現代医学批判派の人たちと比べると、現代医学の治療効果を高く評価しているのが特徴だ。むしろとりわけ初期には必要であるとしている点が全く異なるように感じられた。短期的には免疫療法よりもはるかに効果的だということを匂わせている。それで、前に西原克成という人の「究極の免疫」という本を読んだときは、現代西欧医学に対する否定的な見解ばかりが目に付いて、この人のいうことがいささか過激であるのに並行したものだが、安保徹氏の方はずっと穏やかで中立的であってよい。西原氏の書物などには、妙に底意地の悪そうなところがちらちらしていて、ちょっと疲れるところがある。
理屈の分からない人間には、精神分析の手法によって神経症などの精神疾患を治すことはまず不可能らしい。それと同じだ。理解力の欠如している人間に免疫力を高めることなどまずできないだろう。安保氏が挙げている原因不明の難病の中には、潰瘍性大腸炎やクローン病、膠原病やガンなどと並んで、歯槽膿漏や痔といった身近な疾患もある。これらの発症原因のほとんどは、白血球の自立支配の法則を知ることによって解明されるそうだ。即ち、2つの白血球、リンパ球と顆粒球のうち、顆粒球の活性化のしくみを知ることで、ほとんどの粘膜障害、組織障害の謎が解けてくるという。なぜ障害が起きるかというと、細菌がいないことが原因だという。つまり、顆粒球の出動する必要のないのに出動命令を出す指令系統がおかしいのだから、まずその交感神経過剰優位という無能な上層部の修復をするのが懸命なのであって、いくら対症療法に終始していても、いずれは破綻するというのである。細菌がいないところに派遣された顆粒球は、しかたがないので組織を活性酸素で破壊する。原爆を搭載した爆撃機が目標が見当たらないのでその辺に原爆を投下するようなものだ。歯槽膿漏や、各種の潰瘍、クーロン病、痔疾などは粘膜の炎症だ。急性膵炎、急性腎炎、突発性難聴などは組織破壊の炎症だという。
安保氏は新生児の顆粒球増多少というのを観察していて、ストレスが原因であることを見出したそうだ。このときは実際に血液を分析して、胎児が肺呼吸を始めた途端に、著しく顆粒球が増加することを発見したという。
顆粒球増加による粘膜破壊は、交感神経過剰優位によるもので、戦中戦後に多かったが、現在の日本人はリラックスのし過ぎで副交感神経過剰優位という風になっている人が多いという。そうすると、顆粒球が抑えられる代わりに、リンパ球が増えすぎることになるのだそうだ。子どもの場合は過保護、大人の場合は運動不足と食べすぎがリラックスを生むという。外に出て紫外線を浴びたり酸素を消費するようなことがないから、交感神経を緊張させることも少ない。おまけに車の排気ガスには人をリラックスさせるに十分な二酸化炭素が含まれているので、都会で暮らすだけで人は常にリラックス過多の状態にあるという(*)。リラックスの状態が続き過ぎると、リンパ体質の人間を作ってしまう。そうすると、外来抗原に対する免疫過剰症を発生する。これが、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症であったり、あるいは風邪の症状を重くさせなかなか快癒に向わせないものとなるそうである。しかし、ガンといえば、交感神経緊張型の顆粒球増加のパターンが75%くらいだが、25%は副交感神経優位のリンパ球過剰タイプなのだという。リラックスしすぎても、血流障害が起きて、血液が滞り、ガンを発生させるという。そうして、このことは実際のデータとよく一致する。花粉症などのアレルギー患者は、そうでないヒトと比べて2倍だけガンになりにくいという報告がある。ただし、もともとリンパ球の多い体質であるから、免疫療法で簡単に感知するガンばかりだそうだ。
*よく脳にα波が出たときがリラックス状態だなどというけれども、あれは頭が人間の全体だなどと考えている人の自分勝手な意見で、考えてみれば酸素を取り入れること自体が体にとってはストレスとなるものだ。前に二酸化炭素ナルコーシスのことを述べたが、身体にとっての真のリラックスというのはやはり動かないで休んでいることになるのだろうから、頭から見ればそれは「死」ということになる。人間本位の通常の医師の思想とは異なっていて、森羅万象を公平に見た人間の意見のようで、安保徹氏というのはかなり爽やかで好感の持てる人のようだ。
ねずみにがん細胞を10万個ぐらい注射してもすぐにリンパ球に退治されてしまうが、あらかじめ放射線を当ててリンパ球を減らせてしまうと、千個ぐらいの注入でも発ガンするそうだ。そうすると、必ずしも顆粒球だけがガンの原因だとはいえないのかもしれない。
ガンが免疫療法で縮退してゆく過程で必ず熱が出て寝込むようになるのだが、この一過性の落ち込みは「傍腫瘍症候群」として戦前から広く知られていたことで、黒色肉腫(メラノーマ)の自然退縮時によく観察されていたものだというが、戦後になって抗がん剤の登場と共に忘れ去られていったという。ということは、自然治癒に任せておけば、現在メラノーマはガンの中でも特に悪性だというようなことがいわれているが、メラノーマは案外回復の可能性の高いガンなのかもしれない。というのはかつてはガンというのは不死の病であるようにいわれていた。その中にあってたびたび自然治癒が報告されていたとしたら、少なくともメラノーマの治療に関しては、戦前のほうが医療技術が進んでいたということになる。大いに思い当たるのは「瀉血」療法だ。完全に免疫力を高め、新陳代謝を活発にし、若返りを図る方法であって、勝海舟なども、疲れると小刀で自分の額を切っては少量の血を流していたという。
現代は、市販薬等の抗炎症薬、鎮痛剤、湿布薬などはもちろん、抗不安剤や睡眠薬などにいたっても、長い間には交感神経の緊張を促すことで、ガンになりやすい体質を招いているのだという。だから、膝痛や肩こりに効くからといって、むやみに薬を貼ったりしていてはだめなのだという。そう考えると、近年がん患者が増えてきているのはそのせいかという気もする。一方で、このまま大気中に炭酸ガスを排出していけば、過度のリラックスによるアレルギー疾患の急増を招くことになるから、火力発電などは大至急撤廃するべきであって、水力発電や原子力発電、風力発電、太陽電池(太陽発電とはかかれていない)に切り替える必要があるといっている。しかし、水力発電がもたらす環境破壊は思った以上にすさまじいものらしい。太陽発電も、一見環境にはよさそうに思えるが、住宅の屋根くらいならともかく、緑地を減らしてまで設置するようなことはかえって環境破壊を招くではないかということになると、やはり原子力発電が最有望ということになるかと思う。
この本で、脳のグリア細胞がマクロファージの変形したものであることを知った。取り出して培養すると、白血球のマクロファージと同じ動きをするそうだ。どうも詳しく調べてみなければなんともいえないが、血管内皮細胞もマクロファージが作ったものだそうだ。進化の途上でそのようになったのか、個人の一生のうちにそうなるのか、あるいは意思を集中させることによってマクロファージに指令を送ることでそうできるのかはかかれていない。どうも安保氏のようなタイプの人間は、特別の人にしか備わっていない能力を、一般論として展開してしまうという傾向があるらしいから、よく調べてみないことにはなんともいえない。マクロファージが顆粒球とリンパ球に分化するらしい。血管中のマクロファージは『単球』という形をとっている。そうして、顆粒球は免疫反応というのを持たないから、一度ニキビにかかれば二度とニキビにかからないというようなことは起きないが、生体防御機能の6割ほどはこの顆粒球が行なっているそうだ。食中毒に対する防御も、この顆粒球が免疫反応なしで、化膿性の炎症を起して直すものだという。顆粒球の核は人体の細胞核のうちで唯一「核断裂」に近いくびれた構造を持っているためか、顆粒球の寿命は非常に短く、2日ほどしかない。
顆粒球の炎症は化膿性の炎症、組織破壊の炎症で、リンパ球の炎症は、カタル性(さらさらしたショウ液性の炎症)かフレグモネ性(赤く腫れる炎症)、アレルギー性の炎症だ。前者は交感神経の優位になるにつれ増加し、後者の活性は副交感優位と比例する。だから、交感神経優位の昼は顆粒球の割合が増え、副交感神経優位の夕方や夏場にはリンパ球が多めになるそうだ。
リンパ球には、マクロファージとよく似た大型の顆粒リンパ細胞であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)がマクロファージから最初に進化して生まれた。世界中にリンパ球がマクロファージから生まれたという人は誰もいなかったが、1985年に安保氏が実験を行い、NK細胞が貪食を行なうことを確かめたそうだ。胸腺外分化T細胞が次にマクロファージから生まれたのだが、これも1990年になって安保氏が発見したという。それまではT細胞は胸腺からのみ生まれるものと考えられていて、それで胸腺(Thymus)の頭文字をとってT細胞と名付けられていた。こういうところが古い資料には書かれていないのと、安保氏の書物が余り一般書なので、あれこれ批判されるのだろう。「人間は核分裂エネルギーを利用して代謝を行ないうるから、必ずしも基礎代謝以上の食物を摂取する必要はない」などというところも、一部の人間は理解しにくいのだろう。・・NK細胞やT細胞のように、自らの細胞ごと抗原の所に行って、抗原と反応するものを「細胞性免疫」という。
これとは別に、「免疫グロブリンレセプター」を持ったB細胞がある。一般の事典などには「骨髄組織で作られる」と明示されているが、これについては安保氏は「おそらく骨髄で作られているのではないかといわれている」というにとどめている。細胞表面についている抗体(免疫グロブリンレセプターつき)を体液中に放出して免疫反応を行なうので「液性免疫」という。液性免疫になると、自己と非自己の区別をはっきり行なうが、マクロファージからの分化が浅い免疫細胞を見ていると、そのようなことはせずに、異常のある細胞は自己細胞でも排除している。だから。自己とか非自己の区別が免疫の基本だという考え方は正しい考え方とはいえないそうである。外来抗原を認識するのみの免疫システムは、生物が陸棲を始めて、血液中に5倍の酸素を取り込むようになったために、えらで行なっていた自己異常発見の自己応答型のリンパ球を死滅させて、外来抗原むけのシステムを拡大させたからだという。
T細胞とかB細胞といった、いわゆる外来抗原むけの免疫システムを「進化した免疫」とか「新しい免疫」と呼んで、NK細胞など自己応答型の免疫システムのことを「古い免疫」と呼んでいる。こういうことはまだ教科書にはあまり載っていない。テレビや新聞などのマスメディアを通して時折報道されるようだが、年代に関係なく、古い教育を受けたものはたいてい古い考え方に固執するので、いわゆる「専門家」であるほど誤った考えから脱却できない。今回の原発報道でも、専門家の意見が如何にでたらめであるかということが分かったと思う。そこへ行くと、対照的に地震研究科の意見は一致している。理論も完璧に近いし、予測もおおむね正しかった。歴史的に見て、重力の分野の計算というのは完成されているので、この分野では混乱というようなものはほとんど起きなかった。もちろん、彼らの報道を聞いている大衆が混乱するのは毎度のことだ。
それはそれとして、冷蔵庫のほうは普及してなぜ病気が増えたかというと、どうも食中毒のようなものは減ったが、いきなり冷えたものを取り込むという習慣が身体に悪かったらしい。道理からいっても、人間のような恒温動物は、体温を適度に高めることで生きているのに、せっかく温まった体温を冷やすというのは、そもそも妙な行為だ。天命に悖るというか、考えなしの行為である。少なくとも、知恵のあるものの取る行動ではない。からだの細胞のことを思うと、彼らにはたいへん思い遣りのないものだといわざるを得ない。
安保氏は、現代医療の誤っている代表として、パーキンソン病患者にドーパミン前駆物質を投与することの根本的な過ちを述べている。パーキンソン症候群の患者は、交感神経過剰で起こるものであるから、交感神経を合成するドーパミン前駆物質の投与は本質的に無意味であるとといている。しかし、反対しているわけでもなんでもなく、前後の文章を読めば短期的には現代医学の治療効果は認めているということもわかる。免疫療法には理論というものが欠如しているので、自分はその理論をのべているのだと散々断っているのだが、それだけ断っても分からない人は分からないようだ。ちなみに、「安保徹」で検索をかけると、「安保徹 トンデモ」というのが出てきたが、そこでのべられている『免疫革命』についての批判を見ると、反対に読解力のなさのための思い込みで間違ったことをのべているに過ぎないということがよくわかるのだが、これほど理解力を欠いた者に通常の文章を書く能力があるということに返ってびっくりする。年齢いかんにかかわらず、20代でも頭の固いものは固い。年を取るにつれて頑迷さの度合いが増えてゆくというのはあるが、これは思ったほどひどくはないのではないかと思う。バクーニンのいうように、若くても自分の頭で考えるような人間は1千人に1人もいないと思う。私の見るところでは、頑迷な石頭というのは、大体身近なものを常に否定するような性格を持っている。こういう人は年をとると、若い頃は聡明ではあっても、まずだめなようだ。
何人かの現代医学批判派の人たちと比べると、現代医学の治療効果を高く評価しているのが特徴だ。むしろとりわけ初期には必要であるとしている点が全く異なるように感じられた。短期的には免疫療法よりもはるかに効果的だということを匂わせている。それで、前に西原克成という人の「究極の免疫」という本を読んだときは、現代西欧医学に対する否定的な見解ばかりが目に付いて、この人のいうことがいささか過激であるのに並行したものだが、安保徹氏の方はずっと穏やかで中立的であってよい。西原氏の書物などには、妙に底意地の悪そうなところがちらちらしていて、ちょっと疲れるところがある。
理屈の分からない人間には、精神分析の手法によって神経症などの精神疾患を治すことはまず不可能らしい。それと同じだ。理解力の欠如している人間に免疫力を高めることなどまずできないだろう。安保氏が挙げている原因不明の難病の中には、潰瘍性大腸炎やクローン病、膠原病やガンなどと並んで、歯槽膿漏や痔といった身近な疾患もある。これらの発症原因のほとんどは、白血球の自立支配の法則を知ることによって解明されるそうだ。即ち、2つの白血球、リンパ球と顆粒球のうち、顆粒球の活性化のしくみを知ることで、ほとんどの粘膜障害、組織障害の謎が解けてくるという。なぜ障害が起きるかというと、細菌がいないことが原因だという。つまり、顆粒球の出動する必要のないのに出動命令を出す指令系統がおかしいのだから、まずその交感神経過剰優位という無能な上層部の修復をするのが懸命なのであって、いくら対症療法に終始していても、いずれは破綻するというのである。細菌がいないところに派遣された顆粒球は、しかたがないので組織を活性酸素で破壊する。原爆を搭載した爆撃機が目標が見当たらないのでその辺に原爆を投下するようなものだ。歯槽膿漏や、各種の潰瘍、クーロン病、痔疾などは粘膜の炎症だ。急性膵炎、急性腎炎、突発性難聴などは組織破壊の炎症だという。
安保氏は新生児の顆粒球増多少というのを観察していて、ストレスが原因であることを見出したそうだ。このときは実際に血液を分析して、胎児が肺呼吸を始めた途端に、著しく顆粒球が増加することを発見したという。
顆粒球増加による粘膜破壊は、交感神経過剰優位によるもので、戦中戦後に多かったが、現在の日本人はリラックスのし過ぎで副交感神経過剰優位という風になっている人が多いという。そうすると、顆粒球が抑えられる代わりに、リンパ球が増えすぎることになるのだそうだ。子どもの場合は過保護、大人の場合は運動不足と食べすぎがリラックスを生むという。外に出て紫外線を浴びたり酸素を消費するようなことがないから、交感神経を緊張させることも少ない。おまけに車の排気ガスには人をリラックスさせるに十分な二酸化炭素が含まれているので、都会で暮らすだけで人は常にリラックス過多の状態にあるという(*)。リラックスの状態が続き過ぎると、リンパ体質の人間を作ってしまう。そうすると、外来抗原に対する免疫過剰症を発生する。これが、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症であったり、あるいは風邪の症状を重くさせなかなか快癒に向わせないものとなるそうである。しかし、ガンといえば、交感神経緊張型の顆粒球増加のパターンが75%くらいだが、25%は副交感神経優位のリンパ球過剰タイプなのだという。リラックスしすぎても、血流障害が起きて、血液が滞り、ガンを発生させるという。そうして、このことは実際のデータとよく一致する。花粉症などのアレルギー患者は、そうでないヒトと比べて2倍だけガンになりにくいという報告がある。ただし、もともとリンパ球の多い体質であるから、免疫療法で簡単に感知するガンばかりだそうだ。
*よく脳にα波が出たときがリラックス状態だなどというけれども、あれは頭が人間の全体だなどと考えている人の自分勝手な意見で、考えてみれば酸素を取り入れること自体が体にとってはストレスとなるものだ。前に二酸化炭素ナルコーシスのことを述べたが、身体にとっての真のリラックスというのはやはり動かないで休んでいることになるのだろうから、頭から見ればそれは「死」ということになる。人間本位の通常の医師の思想とは異なっていて、森羅万象を公平に見た人間の意見のようで、安保徹氏というのはかなり爽やかで好感の持てる人のようだ。
ねずみにがん細胞を10万個ぐらい注射してもすぐにリンパ球に退治されてしまうが、あらかじめ放射線を当ててリンパ球を減らせてしまうと、千個ぐらいの注入でも発ガンするそうだ。そうすると、必ずしも顆粒球だけがガンの原因だとはいえないのかもしれない。
ガンが免疫療法で縮退してゆく過程で必ず熱が出て寝込むようになるのだが、この一過性の落ち込みは「傍腫瘍症候群」として戦前から広く知られていたことで、黒色肉腫(メラノーマ)の自然退縮時によく観察されていたものだというが、戦後になって抗がん剤の登場と共に忘れ去られていったという。ということは、自然治癒に任せておけば、現在メラノーマはガンの中でも特に悪性だというようなことがいわれているが、メラノーマは案外回復の可能性の高いガンなのかもしれない。というのはかつてはガンというのは不死の病であるようにいわれていた。その中にあってたびたび自然治癒が報告されていたとしたら、少なくともメラノーマの治療に関しては、戦前のほうが医療技術が進んでいたということになる。大いに思い当たるのは「瀉血」療法だ。完全に免疫力を高め、新陳代謝を活発にし、若返りを図る方法であって、勝海舟なども、疲れると小刀で自分の額を切っては少量の血を流していたという。
現代は、市販薬等の抗炎症薬、鎮痛剤、湿布薬などはもちろん、抗不安剤や睡眠薬などにいたっても、長い間には交感神経の緊張を促すことで、ガンになりやすい体質を招いているのだという。だから、膝痛や肩こりに効くからといって、むやみに薬を貼ったりしていてはだめなのだという。そう考えると、近年がん患者が増えてきているのはそのせいかという気もする。一方で、このまま大気中に炭酸ガスを排出していけば、過度のリラックスによるアレルギー疾患の急増を招くことになるから、火力発電などは大至急撤廃するべきであって、水力発電や原子力発電、風力発電、太陽電池(太陽発電とはかかれていない)に切り替える必要があるといっている。しかし、水力発電がもたらす環境破壊は思った以上にすさまじいものらしい。太陽発電も、一見環境にはよさそうに思えるが、住宅の屋根くらいならともかく、緑地を減らしてまで設置するようなことはかえって環境破壊を招くではないかということになると、やはり原子力発電が最有望ということになるかと思う。
この本で、脳のグリア細胞がマクロファージの変形したものであることを知った。取り出して培養すると、白血球のマクロファージと同じ動きをするそうだ。どうも詳しく調べてみなければなんともいえないが、血管内皮細胞もマクロファージが作ったものだそうだ。進化の途上でそのようになったのか、個人の一生のうちにそうなるのか、あるいは意思を集中させることによってマクロファージに指令を送ることでそうできるのかはかかれていない。どうも安保氏のようなタイプの人間は、特別の人にしか備わっていない能力を、一般論として展開してしまうという傾向があるらしいから、よく調べてみないことにはなんともいえない。マクロファージが顆粒球とリンパ球に分化するらしい。血管中のマクロファージは『単球』という形をとっている。そうして、顆粒球は免疫反応というのを持たないから、一度ニキビにかかれば二度とニキビにかからないというようなことは起きないが、生体防御機能の6割ほどはこの顆粒球が行なっているそうだ。食中毒に対する防御も、この顆粒球が免疫反応なしで、化膿性の炎症を起して直すものだという。顆粒球の核は人体の細胞核のうちで唯一「核断裂」に近いくびれた構造を持っているためか、顆粒球の寿命は非常に短く、2日ほどしかない。
顆粒球の炎症は化膿性の炎症、組織破壊の炎症で、リンパ球の炎症は、カタル性(さらさらしたショウ液性の炎症)かフレグモネ性(赤く腫れる炎症)、アレルギー性の炎症だ。前者は交感神経の優位になるにつれ増加し、後者の活性は副交感優位と比例する。だから、交感神経優位の昼は顆粒球の割合が増え、副交感神経優位の夕方や夏場にはリンパ球が多めになるそうだ。
リンパ球には、マクロファージとよく似た大型の顆粒リンパ細胞であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)がマクロファージから最初に進化して生まれた。世界中にリンパ球がマクロファージから生まれたという人は誰もいなかったが、1985年に安保氏が実験を行い、NK細胞が貪食を行なうことを確かめたそうだ。胸腺外分化T細胞が次にマクロファージから生まれたのだが、これも1990年になって安保氏が発見したという。それまではT細胞は胸腺からのみ生まれるものと考えられていて、それで胸腺(Thymus)の頭文字をとってT細胞と名付けられていた。こういうところが古い資料には書かれていないのと、安保氏の書物が余り一般書なので、あれこれ批判されるのだろう。「人間は核分裂エネルギーを利用して代謝を行ないうるから、必ずしも基礎代謝以上の食物を摂取する必要はない」などというところも、一部の人間は理解しにくいのだろう。・・NK細胞やT細胞のように、自らの細胞ごと抗原の所に行って、抗原と反応するものを「細胞性免疫」という。
これとは別に、「免疫グロブリンレセプター」を持ったB細胞がある。一般の事典などには「骨髄組織で作られる」と明示されているが、これについては安保氏は「おそらく骨髄で作られているのではないかといわれている」というにとどめている。細胞表面についている抗体(免疫グロブリンレセプターつき)を体液中に放出して免疫反応を行なうので「液性免疫」という。液性免疫になると、自己と非自己の区別をはっきり行なうが、マクロファージからの分化が浅い免疫細胞を見ていると、そのようなことはせずに、異常のある細胞は自己細胞でも排除している。だから。自己とか非自己の区別が免疫の基本だという考え方は正しい考え方とはいえないそうである。外来抗原を認識するのみの免疫システムは、生物が陸棲を始めて、血液中に5倍の酸素を取り込むようになったために、えらで行なっていた自己異常発見の自己応答型のリンパ球を死滅させて、外来抗原むけのシステムを拡大させたからだという。
T細胞とかB細胞といった、いわゆる外来抗原むけの免疫システムを「進化した免疫」とか「新しい免疫」と呼んで、NK細胞など自己応答型の免疫システムのことを「古い免疫」と呼んでいる。こういうことはまだ教科書にはあまり載っていない。テレビや新聞などのマスメディアを通して時折報道されるようだが、年代に関係なく、古い教育を受けたものはたいてい古い考え方に固執するので、いわゆる「専門家」であるほど誤った考えから脱却できない。今回の原発報道でも、専門家の意見が如何にでたらめであるかということが分かったと思う。そこへ行くと、対照的に地震研究科の意見は一致している。理論も完璧に近いし、予測もおおむね正しかった。歴史的に見て、重力の分野の計算というのは完成されているので、この分野では混乱というようなものはほとんど起きなかった。もちろん、彼らの報道を聞いている大衆が混乱するのは毎度のことだ。


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