酸素中毒

高圧酸素治療なんていうのもあるらしいが、数週間にもわたる長期治療期間が続くとまず肺繊維に問題が生じてくるという。高圧の気体を吸い込むことに問題があるのではなく、呼気中の酸素分圧が高すぎることが問題なのだという。

高圧の空気を長年吸い込んでいる人というと、スキューバダイビングを趣味に持つ人がまず頭に浮かぶが、別段彼らが異常をきたしたなどという話も聞かない。ただ水深が深くなるにつれて、窒素酔いといった症状を訴える人が増えてくるといった程度である。ちょっと考えると、深い海の中、例えば水深30メートルなどのところで水中ボンベを吸い込んでいる人は、その場所に相当する水圧と同等の4気圧の空気を吸い込んでいるわけであるから、4分の1の呼吸運動で必要充分な酸素を摂取できるのではないかと思うのだが、どうも違うらしい。どうもダイバーの様子をテレビなどで見ていると、呼吸に関しては地上とさほど変わらない速さで行っている。気圧が4倍だから、同体積に占める酸素の量も4倍になっているはずなのだが、別段その分余計に体内に酸素を取り込むというわけでもないようだ。何か勿体ないという感じがする。人間の息が苦しくなるのは、酸素が不足したわけではなく、二酸化炭素の量が増えるからだそうだから、二酸化炭素さえ増加しなければ、水中ではかなり長く息留というのができるのではないかと思う。そうすれば、無駄にぼこぼこ潤沢な空気を排出しなくても済むだろう。何とも食い物を粗末にしているようで、すっきりした気分になれない。多分まだ使えるものだという気がするから、一回吸って終わりにするのではなく、しばらくは循環ループするという水中ボンベが開発されてもよさそうなものだ。そうすれば、一本のボンベで何倍も潜っていられるだろう。水中ボンベ内の気圧は200~300気圧のものが普通だというが、深く潜るほど無駄食いが起きる。まあ、水中でも酸素の消費量が地上と変わらないと仮定してのことだが。

水深が比較的浅いところをもぐるために、酸素量を通常の大気組成の割合よりも増やした水中ボンベというのもあって、そういうのをナイトロックスボンベなどというらしいが、そういう風に酸素分圧を増やした気体であると、酸素も余計に体内に取り込めるようだ。しかし、あまり取り込むと人体に危険だから、深く潜るために、通常より酸素の割合を減らして10%くらいにしたボンベもあるらしい。そういうボンベでは窒素ガスもヘリウムガスと交換されている。ヘリウムガスは血液に溶けにくく、窒素酔いのような現象を引き起こさないからだという。

話がスキューバダイビングの話に飛び火したので、こっちの方の歴史についてちょっと調べてみると、これはフランスの海洋学者のジャック・クストー(1910-1997)(下の写真)の研究班がスクーバ(商品名アクアラング)を発明したことで世界中に広まったということだ。SCUBAとは、Self Contained Underwater Breathing Apparatusの頭文字をとったもの。自給式水中呼吸装置などと訳されることもあるそうだ。1943年に発明され、1946年になって市販された。だから大戦中のダイバーは、母線と紐のような管によってつながっていて、そこから母親と赤子の要領で酸素の供給を得ていたことになる。そういうことをすると、お互いに強い連帯感が生まれるというわけだ。アクアラングの基本諦な構造は当時とあまり変わっていないようで、れぐれーたーによってタンク内の高圧空気が海水と同じ圧力まで下げられ、呼気に供給されて、吐気のほうは海中へ出ていく。同圧力なので、海水が浸み込んだりしない仕組みだ。マウスピースの代わりに全面マスクを使用することで音声による会話が容易にできるようになったのは、その後の改良によるものだが、これでヘリウムガスによる甲高い変性声が茶の間に知れ渡ることになった。

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戦時中の人間がいくら冒険心に富んでいたにしても、よく自分の肺に2倍も3倍もの分量の空気を送り込む気になったものである。地上でこれを行ったら大変なことになるということは誰にもすぐわかる。深海30メートルで吸い込んでいる圧縮空気の分量は自分の肺活量の4倍相当にもなる。それだけの量を無理やり押し込んでいるのと同じことだ。もしも水圧の助けがなかったとしたらば、たちまち破裂する。まず現代人なら恐ろしくてやらなかっただろう。戦争中で、危険な冒険の実行に慣れていたからこそすぐに身をもって実験できたのだろう。実際、何倍も圧縮された空気を吸い込めば、恐ろしい事故が起こるということがすぐ後になってわかったもので、今の世の中だったら、そんなものはすぐに販売禁止になっていたはずだ。放射能にまみれたラジウム飲料の次に危ない代物であったくらいで、昔の人間の多くの犠牲のもとに現在のリクリエーションとしてのスキューバダイビングが確立されたといってよい。

血中に過剰に溶け込んだはずの酸素をイルカのように利用することができれば、人間でも数十分は息を止めて潜っていられるはずである。そういうことができずに酸素中毒なるものを引き起こすとは、何ともバカらしいところだ。イルカの肋骨は非常に柔軟であり、水圧でつぶれきった肺の周りにもぴったりと吸い付いていて折れることもなく、水深300メートル以上も潜ることができるそうであり、おまけに高圧な空気を吸わないので潜水病にもなることがない。人間もこれと同じで、素潜りであればいくら急激に浮上しても潜水病になることはない。そのため、水中ボンベをつけたダイバーよりも、素潜りのダイバーのほうが深くまで潜ることができる。ヘリウムガスボンベを装着したダイバーはせいぜい100メートルの深度までしか到達できないが、素潜りであれば通常の大気を吸って潜った場合でも150メートル、混合気体であれば200メートル以上潜ったという記録があるそうである。人間工学的にはイルカと同様300メートルまでは耐えられるという計算らしい。

ちなみに、人体の表面積を求める公式というのがあって、それによると、
 S(㎡)=体重(kg)^0.425×身長(cm)^0.725×0.007184
で、60kg170cmの人で、おおよそ1.695平方メートルということだ。この人の場合、地上1気圧のもとで約1.7トンの大気圧を全身に受けているということになる。深海300メートルだと、おおよそ31気圧、水圧で胴体部分がかなりへこむことを考慮しても、40トン以上の圧力になる。平均的に受ければ、結構耐えられるものだ。一時的に肺を何かで充てんしてしまえば、圧力自体にはより耐えられるということも考えられる。マッコウクジラは深海2千メートルまで潜航できるというからだ。上記の体表面積を求める計算式はアメリカの学者の求めた式で、日本人はアメリカ人より胴長短足だから、上式とはだいぶ異なってくるかもしれない。ちょっと考えると、足のほうが2つに分かれているから表面積の方も大きくなりそうな気がするのだが、表面積は円周×長さだから、足の細い日本人の場合だと逆に表面積が増える減ることになる。胴体の太さ80センチ長さ90センチ、足の太さを30センチ長さ80センチ、腕の太さを25センチ長さ60センチとして計算してみると、頭は胴体に含めるとして、円柱部分だけの面積の和で、80×90+2×30×80+2×25×60=7200+4800+3000=15000平方センチ=1.5平方メートルとなる。何か適当に計算してみたものと大差ない。


酸素中毒の発生する根本的な原因はまだよくわかっていないらしいが、放射能による障害などと同じく、フリーラジカルの異常発生が根本原因だとする説が有力であるらしい。とすると、この場合でも、日常的に体力のある人間により耐性があるということになる。潜水記録を持つものは男性ばかりだが、女性の場合のほうが2割か3割程度も徳かもしれない。血液中の赤血球の割合が平均して数割低いということは、それだけ効率よく酸素を消費しているとも考えられる。ただ心理的な恐怖感によって、現在のところ、記録保持者が出ないのだろう。いわゆる潜水病にしても、本当は何ともないのに、ただの暗示で気分が悪いと訴えているだけなのかもしれない。古今東西の歴史において、静止パワーは女性の方が数段上回る。潜水の場合は例外だとは考えにくい。体つきも幼児に近く、肺胞が小さくイルカなどの海洋生物に似ている。


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