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zoom RSS 大恐慌のアメリカ〜1929−33年の不平等社会

<<   作成日時 : 2008/03/02 17:17   >>

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20年近く前になるが、図書館で借りた本の中に、岩波新書の『大恐慌のアメリカ』という本があった。1988年に初版が発行されているが、非常に意外に思ったらしく、メモが残っている。あまりに意外だったので、頭の中で記憶の変容というのを行なってしまったらしく、過半数の国民が貧困にあえいだように思い込んでいた。わずか20年ほどの間にも、恐らくは無意識下で、こういう都合のよいつじつま合わせが行なわれていたことにも驚いている。

しかし、1929年から33年にかけて個人消費が41%も落ち込んだにもかかわらず、この期間、3分の2の国民が豊かで享楽を謳歌していたそうだ。『我々は世間が不況だということを知りませんでした』という人も多かったという記録も残っているらしい。これら豊かな人々も、ニューヨーク市場で恐らく株取引を行なっており、ダウ平均のひどい下落振りぐらいは知っていたはずなのだ。

貧困にあえぎ、餓死する人や凍死する人がいたという中で、毎日高級レストランで外食を楽しむという人が相当数存在していたというのは驚くほかない。今から振り返れば滅茶苦茶な時代だったに違いないなどと思うのだが、それでは先年の日本のバブル崩壊では何があったかというと、やはり特に変わったことは何事も起こってはいなかったとしか思えない。隣の家も、その隣の家も、暮らしぶりは今と同じようだった。ただテレビや新聞が騒いでいるだけで、それがなければ不況だなどとは気付きもしなかっただろう。それでも、そういうことを考えてみたところで、『当時のアメリカ発の世界恐慌は、我がバブル崩壊などよりはるかに深刻なのであって、大半の人が不安におびえる日々を送っていたのだ』などと思ってしまう。確かに、日本も、1990年日経平均4万円近くから03年に6000円台まで落ちたのは、当時のダウの下落幅と同じくらいではある。一人当たりGNPも最高世界2位から、今は20位くらいらしい。ひょっとすると『こんなものだったのだろうか?』という気もしてこないでもないのだが、やはり直感的にはどうも納得できない。第一、当時のアメリカを襲ったのは、慢性的な不況などではなくて、「大恐慌」なのである。そのさなかにあって、過半数の国民が無傷であったとはにわかに信じがたい。

それで、以下のような記述に接すると大変な驚愕または疑惑を覚えるのだ。――「しかし、3分の1が困窮しているのなら、3分の2の国民は悪い状態におかれていなかったことも指摘しなければならない。上流階級はあいかわらず優雅な生活を続けていた。レストランで食事をする余裕のあるものは、皿の料理を幾分か残すことがエチケットとされた。(レストランの側ではそれをきれいに区分けされた残飯として外に出し、赤十字などの慈善団体が毎日それを市内の所定の場所に運ぶのだった)。屈辱に耐えて救済にすがる家族があれば、マニキュアの爪にひらひらの洋服を着て苦労を知らぬげに救済事務所で働く大学でのお嬢さんもいた。また、国民の3分の1が困窮していた間にも、新しい事業で大当たりをとる人間もいた。」――

すべてのカタストロフィーは潜在的に何か利益をもたらす】という記述にも相当の困惑を覚えたようだ。今でも大いに疑問とするところである。こういう論理で行くと―物事にはそれを享受する人間も多くいるという理屈を推し進めると、例えば太平洋戦争を享受した日本人も多くいたはずだという妙な話にたどり着くからだ。戦後発表された統計の数値を見る限り、太平洋戦争の直接の影響をこうむった日本人の数は全人口の一割にも満たないというへりくつも出来るからである。


ここでまたおかしなことに気付いたのだが、今テレビでたびたび放映されるのに「若年性痴呆」というのがある。3年前とか5年前に発症して、今でも会社でたびたびミスを犯すなどというが、かつてマスコミは丁度3〜5年前「そういう無能力者は即解雇されるリストラ社会」を散々吹聴していたものだ。彼らが解雇されずに勤務しているということ事体、おかしな話だと思う。人員整理の嵐など本当に会ったのだろうかと思うくらいである。一握りの運の悪い会社だけがリストラに悩んだのではないかとも思えてくる。何故ほとんど役立たずであろう痴呆症のものが勤続している傍らで、そこそこ有能な人間が解雇されたのかは疑問である。テレビもいい加減で、その辺の謎はまるで放送しようとはしていないように見える。


それにしても、あの大恐慌時代にあっても、70%近くの人間にとってはなんら問題がなかったとすれば、現在騒がれているサブプライム問題も80%の人間にとっては絵空事みたいなものなのかもしれない。それだけのことで市場があれだけ動揺するのならば、これもまた驚きというものである。もしも上述の記事が本当ならばであるが・・・。

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