森の散歩

アクセスカウンタ

zoom RSS 鏡の錯覚

<<   作成日時 : 2010/05/21 12:53   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

鏡を見ていて、はてと気がついた。普段何気なく、鏡は「左右は逆にするが、上下は逆にしない」というのがある。これも、よく考えてみれば、錯覚というものであった。鏡は単に直前にある物体の光を反射しているだけだ。上下も左右も逆にしているわけではない。前にも理由を考えたことがあったが、錯覚とまでは強く思わなかった。

ただ人間は左右のほぼ対称のかっこうをしているせいか、左右の違いに敏感すぎるのだ。横幅のあるものには注意を向けるが、上下の幅というものには関心を向けない。当たり前すぎて注意しないといったほうがいい。その証拠に、鏡の前に寝そべってみる。右を上にして見るとして、こちら側を頭に見立てて帽子を右手に持っておく。帽子を持っている手が右手だ。鏡の中もちゃんと上にある手が帽子を握っている。帽子を握っている手が右手だ。だから、鏡の中の手も右手だ。横に寝そべって鏡をみると、あまり逆の手に帽子を持っているというイメージはわかない。鏡がただ単に目の前にあるものを忠実に反射していると思うだけである。実際の頭と足も反対にはなっていないように見える。しかし、これはよく考えないと気がつかないと思うが、奥行きがあべこべになっている。

鏡では前後が逆になる。このことを補正しようとして、人はありもしない虚像を作り上げるのだ。つまり奥行きの逆方向なのを補正しようとして、左右逆にする。上下は鏡に映っているまま、奥行きの逆は補正しない。それだけなのであるが、実感はあまり沸かない。大体、上下を補正するといっても、どのようにするのかよくわからない。それができる人なら、「上下が逆だ」とすぐ思うはずだが。時計や本を鏡に映してみても、特に上下が反転しているようにも見えないが、左右の逆転はすぐに気がつく。

多分、こうした操作は無意識によるものではなく、意識されたものなのだろう。だから、錯覚だとは思わないのだろう。


錯覚であると、誰もが納得できる錯覚というもの、たとえば、地平に近い天体は大きく見えるとか、ビルの屋上から見下ろす人や車は実際よりもずっと遠くにあるように見えるなどというものはすぐに錯覚であると認めることができる。自我が関与していないからである。しかし、鏡が錯覚を生むといわれると、何か侮辱されているような気になることもあると思う。自我がからんでいるためだ。それで、この鏡の問題について、目が横についているからだとか、左右対称の体のせいだとか、重力が鉛直方向に働くとか、古来いろいろのことが言われてきたようだ。朝永振一郎なんかもまじめに鏡の不思議を解こうとしたらしい。どうも重力が原因だとしたようである。まあ、重力が錯覚を呼ぶと考えれば、それでもいいように思う。

でも、さらに考えてみたらば、不思議でもなんでもないように思えてきた。単にわれわれが自分の横に鏡を置いて使っているだけだった。つまり、鏡というものは普通、重力に垂直に立てて使うものなのだ。水平にして使う習慣なら、上下が逆になるのだが、残念ながら、人間の目は自分の正面についているため、そういう使い方では、顔自体を日常生活で行なっているように、鏡の正面に向けなければならない。その動作のために本来上下であるはずのものが左右に変わってしまう。自分以外のものを客観的に眺めれば、上下が逆なのがわかりやすいが、その場合も、かなり抵抗感のようなものはある。しかし、こうしてみると、これは学習による根強い偏見なのであって、意識して錯覚を取り除くことは可能らしいということはわかる。


世の中には鏡像文字を書ける人というのが案外多くて、これは左利きの人がその後強制で右利きになったという人(つまり両手利き)のほぼ全員だそうだから、歯を磨かなくても虫歯には絶対ならない人などよりずっと多いだろう。多分2倍以上はいるはずで、全体の10%を超えると思う(考えながら、なんとかやっと書けるという人は除く)。レオナルド・ダ・ビンチのメモが有名らしいが、もともと片手利きか両手利きの人でも、練習しだいで書けそうに思えるので、このことを根拠に彼が生来左利きであったという人もいるが、はっきりしない。ここで思うに、そうした鏡像文字がすらすら書けるような人は、鏡に関する世間的な偏見は少ないのではないかということだ。鏡に映った自分の右手を見て、「これは左手だ」なんていう頓珍漢な思いなしをするようなことは考え付きもしないのではなかろうか。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
鏡の錯覚 森の散歩/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる