襄陽・樊城の戦い

モンゴルが南宋を滅ぼす際の戦い。襄陽・樊城の戦いにおいて大いに勇名をはせた人物は南宋の呂文煥であった。

噂に反して、モンゴルはずいぶんエレガントであったらしい。将軍呂文煥はクビライの処遇に大いに感銘し、やくざで荒れ果てた南宋の旧地をモンゴルの知恵と技術によって繁栄に導いたらしい。先日から寝床で寝る前に少しずつ読んでいる「大モンゴルの時代」に書かれていたが、モンゴルが汚らしくて野蛮だというのは、東は中華思想により、西は黄色人種だということにより生じた逆さまの言い伝えだったようだということにどうやら間違いなさそうだ。
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南宋との戦いに勝利した1271年の後しばらくして、日本の蒙古侵略の始まりだが、この時の記述も、たぶんかの日蓮の伝えているような蒙古の残虐なふるまいなどというのは、仏教のおきてに「偽りを語ってはいけない」というのがあるらしいが、やっぱり宗教などというのはあてにならないもので、世の中が曲がっていればそれを矯正するための嘘は方便として許される。したがって大変嘘つきの歴史を繰り返しているのが仏教だ。蒙古についても案外嘘大騒ぎだろうと思う。特に第2次の日本遠征において南宋から出向した10万の軍のほとんどは、移民を目的とした中国住民であって、武器の代わりに鍬や鋤を手にしていたという。大型船に乗っていた僅かのモンゴル監視員には打撃はなかったが、多くの住民は海に沈んだり、日本軍に掃討されたりした。

この前述べたアイン・ジャールートの戦い後、モンゴルの巻き返しがなかったというのも、マムルークが力で防衛に成功したというわけではなく、モンゴルの回転が、その進撃の速さと同じく、分裂も速かったからのようだ。フラグの軍隊は、マムルークと戦う余裕などなく、同胞のモンゴルキプチャクにいつ背後を衝かれるかわからなかったからだった。

多分、モンゴル軍にもっとも大きな損害を与えたのは、クビライの兄のモンケ汗ではなかったかと思う。多言語を解し、ユークリド幾何なども嗜んだというが、気が短くて、反勢力の粛清をしすぎたのが後の分裂に拍車をかけたそうだ。頭のいいのが戦上手とは限らず、弟のクビライと比べると父のトルイや祖父のテムジンのような深謀遠慮にかけていたらしい。それで兵隊を随分無駄使いしたし、自身も戦闘中に死去したらしい。クビライの戦法ではモンゴル騎兵の損失はいつでもあまり多くはなかったらしい。

パックス・ロマーナという言葉があるが、モンゴルの治世でも大いに平和が訪れたようで、これを「タタールの平和」などと呼びならわしている人もいる。ただしローマと違って「奴隷に安住するが故の平和」であったかどうかはわからない。特に注目されるのが宗教の保護と再建であったらしい。中国の荒れ果てた浄土教の祖庭とされる玄中寺を復権させ、大寺院へと押し上げたのはモンゴルだったそうである。ここには北方の野蛮な未開社会のイメージは全くない。山西省石壁山玄中寺は善導(613-81)以来荒れ果てたままであったそうだ。南無阿弥陀仏と念仏を唱えさえすれば必ず極楽浄土にたどり着けるなどという他力本願的な思想がモンゴルに不快感を与えなかったというのには意外な気もするが、そう思うのも大蒙古といえば何となく四夷のテント暮らしの生活の様子を思い浮かべるから、そんな社会では文化水準もそれほど高くないだろうと思ってしまう。何しろ中国から導入した資料は総じてアメリカ以上に独りよがりで、自分以外のものはすべて未開だと決めつけている。

匈奴の社会に送られた烏孫公主の『悲愁歌』の一説を思い浮かべる。「天幕を家とし、毛布を壁としている。肉を食べて乳を飲んでいる。」というほどの詩であって、烏孫公主の父が漢の武帝の兄であったために、政略結婚で異国に送られたわけであるが、「願わくば鴻鵠と為って故郷に帰らん」というのが結びのことばだといえば思い出す人も多いと思う。肉を食べるというのは、もとの形を残したまま食べるというほどの意味で、別段生肉を食べるという意味ではないだろう。もっとも、タルタルステーキやタルタルソースのタルタルはタタールから来ているそうだが、中央アジア一帯の遊牧民の食べるものの代表がタルタルステーキだったのかもしれない。だとすると、生肉も幅広く食されていたのかとも思うが、生肉を食している場面はどうも野蛮のイメージと重複してしまう。タルタルステーキのひき肉を焼いたものがハンバーグだそうで、ハンバーグ好きな現代人はある意味先祖返りして野獣化しているのだともいえなくもない。

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