玉虫色について

トンボやセミの羽にサラダ油を塗ってもそれなりの色彩の変化は出せると思うが、夢中で羽ばたいているうちに油分が飛び散るか蒸発して、しばらくすると単調なつまらない色に戻ってしまうだろう。タマムシの羽の地の色は緑だが、何層にも透明な層が取り巻いていて反射光との干渉作用で赤や黄色の色を作り出す仕組みになっている。色がついていない羽のほうが面白かった。緑だと「なんだ、やっぱりか」などと少しがっかりさせられるところもある。完全に透明な地というと、自然のものではないが、シャボン玉というものがある。泡を吹いている蟹でも、あれは体の外にある肺のようなものらしいが、あれも注意深く観察すると虹色に見えるかもしれない。

普通の鏡であっても、表面で反射する光と奥の方で反射する光がお互いに干渉して、観測者の位置によってさまざまな色彩を提示するのではないかと思うのだが、川面に流れる油膜の暗い虹のような怪しい輝きというのは現れない。常に表側と裏側で入力された光を反射するものにガラスがあるが、これは通過してしまう光の分量が大きすぎるのかよくわからないが、うっすらと虹のようなものが見えるといえば見えるような時もある。観測している人間のほうは静止していることが出来ないので、虹色は常に変化しているのかもしれないが、気に止まるほどのものではなさそうだ。通常虹といえば水玉の内部で一回だけ反射する「一次の虹」のことを指すが、二回反射する「二次の虹」というのもあって、日本語でいうとふざけているみたいだが、水玉は球形だからだろうか光の干渉というのはないらしい。

ウィキペディアには、これは「構造色」だとして載っている。光の波長程度の薄い膜で起こるとウィキにはあるが、熱い膜でも鏡のように垂直に反射するものなら起こりそうにも思う。あるいは遊色効果として宝石などの色彩の変化について使われているらしいが、ペンキ塗料のように劣化して色が落ちることがないので車などの新しい塗料として開発されているという。現在は日本ペイントのマジョーラという分光性塗料があるようだが、まだ見たことはない。レクサスのボディにはモルフォ長を模倣した青が企てられた。トヨタは「世界一美しい青」などとしているようだが、それほどきれいには見えない。クジャクの羽の色なども構造色らしいが、あれはどうも鳥類は変化する色が嫌いだからだという。クジャクも鳥類だと思うが、クジャクの仲間はあんな金属色の色を長時間見ても平気らしい。

クジャクと鶏とでは、どちらがより長く飛行できるのだろうか。一見すると鶏のほうがカモなどに似通っていて飛べそうな気もするが、いかにも飛べそうに見えても、飛び方を適当に幼いころ学習しないことには、よほど天分のあるものしか飛べないらしい。水の1000分の1の比重しかない空気が、いかようにして鳥を持ち上げるのだろうか。うまい羽ばたきによって下方の空気を一時自身の比重より重くしてやれば、空も歩けるわけだ。恐ろしい速度で空気の塊を物体にぶつけて圧縮してやれば、人間も天まで上ることが出来るのだろうが、速度によっては一万倍圧縮されて、空気が鉄のようになる場合もありそうだ。

構造色の話に戻ると、ほとんどの宝石が無色透明であるのに、しばしばカットの仕方で色付きに見えるのも光の干渉といえそうだが、着色には遷移金属の酸化物が必要になり、こうした宝石はもう透明ではない。例えばルビーなどは結晶中に0.1~1%程度の酸化クロムを含むため、きれいな紅色をしているそうである。酸化クロムの結晶の色は緑であるが、ルビーが紅色なのは面白い。色中心(いろちゅうしん)と呼びならわしている効果によって、放射線を浴びることにより着色がみられることがしばしばある。天然の鉱石に大抵色がついているのは長い生成期間にいろいろな放射線を浴びてそれらが蓄積しているためでもある。放射性物質を含んだガラス容器が美しく輝くのもランダムな色彩効果のためでもある。
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